
レクィエム・ハンドブック
高橋 正平 著
■B5判/64ページ
■定価:本体1,000円+税
■ISBN 978-4-915994-08-1
レクエィムに関するすべてがわかる、画期的手引書。第一部では、レクィエムの典礼についてわかりやすく説明、第二部では完全対訳・ラテン語の読み方まで収め、『レクィエム』を演奏する合唱団員必携の一冊。
もくじ
序
第一部 レクィエムの典礼
第一章 『死者のためのミサ』典礼の歴史
典礼的・非典礼的
第二章 『死者のためのミサ』の内容
入祭唱/あわれみの賛歌/集会祈願/昇階唱
詠唱/続唱/奉納唱/叙唱/感謝の賛歌/主の祈り
平和の賛歌/聖体拝領唱/終わりの唱和
[付 表] 典礼用に作曲された『レクィエム』の代表例
第二部 『レクィエム』歌詞全訳
INTROITUS/KYRIE/TRACTUS
SEQUENTIA /OFFERTORIUM
SANCTUS/AGNUS DEI
COMMUNIO
付録1 ローマ典礼以前の異文テクスト
GRADUALE
TRACTUS
OFFERTORIUM
付録2 赦祷式(ABSOLTIO)より聖歌二編
RESPONSORIUM
ANTIPHONA
参考文献
あとがきにかえて
日本の合唱団は『レクィエム』が好きなようで、フォーレ、モーツァルトに最近はヴェルディまで加えて、年間を通じ、いつも日本のどこかで演奏会が開かれているようです。しかし、中世キリスト教会の歴史から生まれたそのテクストはなかなか複雑で、日本人にとって難解な部分もかなりあります。
私はこれまで、フロイデ合唱団、シュッツ合唱団など、いくつかの合唱団から依頼を受けて学習会を開いて来ましたが、今年はモーツァルト没後200年の記念の年にもあたることでもあり、これまで学習会で用いてきた資料を、ハンディなかたちにまとめてみました。合唱団の皆さんが楽譜にはさんでいつでもどこでも持ち歩き、時に応じて参照して、テクストと音楽に対する理解と共感の助けとしていただければ幸いです。
ラテン語の発音については紙面の制限もあり、詳しくは解説できませんでした。いずれ、続編として「合唱団員のためのラテン語ハンドブック」を計画しておりますので、そちらの方に譲りたいと思います。
高橋正平
ミサ曲・ラテン語・教会音楽ハンドブック 三ヶ尻正著
序
演奏会でよく取り上げられる宗教曲の中に、フォーレやモーツァルトをはじめとする大作曲家による『レクィエム』があります。それは何といっても音楽が優れているからでありましょうが、さらにこの種の作品には、他の作品とは違った、魂の深奥に迫り人の存在そのものを問う何ものかがあることも否定できないと思います。
では、それは何なのか。『レクィエム』とはどのような宗教音楽なのか。その名の由来は? そこで歌われる歌詞の意味するところは何か。何故、このような構成になっているのか。作品によって構成が違うものあるのは何故か。音楽的にはどのような解釈すべきかなど、『レクィエム』に真剣に取組もうとすると、さまざまな疑問が湧いてきます。
本書はこのような問いを含んで、『レクィエム』の典礼をキリスト教の教理にもとづき基本的かつ総合的に解明しています。著者の高橋正平師は聖公会の司祭であり、学究の徒であると同時に音楽の造詣もある方でありますので、かなり難しい内容が、音楽作品とも関連されつつ、平易な言葉で適確に説明されております。
第一部の第一章では「『死者のためのミサ』典礼の歴史」を概観し、ミサの起こりと、初代教会のミサの本来の意味“共同体的祝祭性”から説き明かし、中世末に『煉獄説』が混入されて死後の煉獄を軽減するための祈りとして『死者のためのミサ』が生まれ、独特な典礼形式として1570年の『ローマ典礼』に定着するに到ったこと、冒頭の句「Requiem aeternam dona eis domine(主よ、彼らに永遠の安息を与えたまえ)」から
『レクィエム』の通称が生まれたこと(『鎮魂曲』という訳は教理的に誤りであること)、しかし第二バチカン公会議(1962〜1965)後の典礼改革によって『死者のためのミサ』は典礼から除外されたこと、などの経緯が述べられます。
第二章は「『死者のためのミサ』の内容」と題し、ミサの各構成部分が、一般ミサとの関連づけのなかで順次に説明されます。
第二部は『レクィエム』の歌詞の全訳からなり、対訳のみでなく逐語訳に番号づけまでがされ、さらに特定な語には注が付されています。
このように簡潔でしかも行きとどいた『レクエイム』の手引書は、今までに日本にはありませんでした。これからは合唱関係者のみでなく音楽を愛するすべての人にとって必携の書となるでしょう。この書を通して、音楽作品『レクィエム』の理解が深まり、演奏するものも聴くものも、さらに深くまた高い次元での魂の共感を味わうことができるでしょう。
有賀のゆり
(元同志社女子大学教授)
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