横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q42 腱鞘炎になってしまいました

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Q42. オクターヴで旋律が出てくるフレーズをレガートに弾けるように一生懸命練習していたら、親指が腱鞘炎になってしまいました。発表会前だったので無理して続けた静芽、今でもちょっと弾いただけで痛くなります。



 技術的な上違をしようと思えば、肉体的にも多少の負荷がなければ上達はしないはずである。 しかし、もしそれが自分で「苦痛」と感じるラインに達してしまうと、腱鞘炎になる確率も高くなってしまうだろう。よく自分の体の感覚を研ぎ澄ませて、「これ以上やったら手を傷めるのではないか」という危険信号を読みとることが必要だ。目安としては、「心地よい疲労感」が感じられるくらいであれば、筋肉や関節の訓練になるが、それ以上の苦痛を伴うとすれば、注意しなければならない。そして最も危険なことは、その痛みに慣れて麻痺してしまうこと。人体の持っている素晴らしい特徴である環境適応能力もこういうときにはあだになってしまう。

 また腱鞘炎は慢性化しやすいので、なってしまったらなるべく早く適切な処置をしなければいけない。その間ピアノが弾けなくとも、そんなときこそ音楽的感性を磨くためにいろいろな作品を聴いたり研究したり、もしくは自分の頭の中で勉強することもできるのだから、長い目で見れば勉強に遅れをとるようなことはないはずだ。決してあせらないように。



「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 4 テクニック」

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