横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q36 小指を無理なく鍛える方法は?

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Q36. 娘は小指が弱くて、いつも先生に「メロディラインをもっと出すように」と言われますが、なかなかできないようです。小指だけ鍛えるために、毎日練習前には「小指だけ」で20分くらい同じ音を弾き続けています。娘の手を見る限りでは、ふにゃふにゃしているので、このままでは指を痛めてしまうのではないかと心配でなりません。



 ピアニストにとって、小指は重要な生命線と言っていいだろう。ピアノを演奏するときの指の形を簡単に言えば、小指を根元の関節で支え、また一方で人差し指も同じように根元の関節で支える。そうすると、自然に中指と薬指は収まるべきところへくるはずである。さらにはその小指と人差し指の強固な支えの中で、親指が、やはり根元の関節から(親指だけは手打の関節から動く)どれだけ自由に柔軟に、そして敏捷に動くかということも求められてくる。

 小指と人差し指の2本の支えのうち、特に訓練を受けていない人の手では小指が弱いことが多い。しかし、手首から小指の付け根までの手の外側に付いている筋肉は決して小さいものではない。弱いのは間節の支えの問題だ。訓緑次第どの程度筋肉が発達するかは、ピアニストのその部分を見てみれば一目瞭然だ。他の分野のスポーツなどと同様、こういった訓練は早いうちから始めるほうが、例えばおとなになってから取り組むよりもずっと効率はいい。

 あるヨーロッパの教師は幼い子を教えるときに、楽譜の読み方よりも何よりも先に、まず何ヵ月も小指だけの訓練をするという。それがあまりに極端な例とはいえ、日本ではまだその部分の重要性を理解していない人が多いように思う。また、それだけならピアノに向かわずともテーブルの上でもどこでもできるはずだ。

 ところで、すべての訓練は正しく無理なくやらなければ、逆効果にすらなりかねない。指を痛めそうなほどの力を加えてまでやる必要はない。それ以上のことは、人それぞれ手の形も特性も違うだろうから、ひとまとめにして言えることではないけれど。

 しつこいようだけど、無理をしないこと。それからピアノに向かっている時間以外にも、折に触れて強化すべきところを気にしていることだ。小指の訓練なんて極端な話、ピアノを使わなくたってできるはずだ。強化すべきは自分の指であってピアノではないのだから 。



「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 3 ピアノ練習法」

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