横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q33 メトロノームの正しい使い方

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Q33. メトロノームを使った練習は必要ですか?しすぎるとよくないと聞いたことがあります。



 自分の演奏する音が自分で100%聴きとれていれば、メトロノームというのは本来必要ない。しかし目をつぶったまま、まっすぐ歩くのが難しいのと同じように、弾くことばかりに一生懸命になっていると、ともするとリズムが歪んだり、テンポが速くなったり遅くなったりしてしまっていることに気がつかない。

 それを矯正するためにメトロノームを使ったりして練習するわけだが、それにはあくまでも自分でまず「このくらいが本来のテンポであろう」というところで弾けるまで練習してみて、それがメトロノームに合っているかどうかという練習をするのが効果的だと思う。初めからメトロノームを使ってしまっては、自分の体で正しいテンポ感を維持する訓練にはならない。

 また、慣れないと非常に難しいと思うが、メトロノームは強拍に入れるのではなく、弱拍に入れて練習してほしい。それによってより正しいテンポ感を得られるからだ。メトロノームをいつも強拍に入れていると、強拍のところはメトロノームと合っていても、強拍と次の強拍の間がかなりいい加減に弾いていても気づかないままでいる場合があるからだ。あえて強拍をまったく外して、四分の四拍子であれば二拍目と四拍目に入れてみたり、ゆっくりした作品であれば裏拍に入れてみたりするとより効果がある。弱拍の拍感をきちんと感じることができていれば、強拍は必然的に正しい位置にくるものなのだ。

 「しすぎるとよくない 」というのは、これは漫然と使った場合であって、メトロノームは本来自分が正しいテンポ感で弾けているかどうかという確認のためなので、確認以上にメトロノームを使う必要性はもともとないはずだし、機械的な演奏を目指す必要などない。もっとも、リズム練習にしてもメトロノーム練習にしても、僕は子どもの頃からイヤで、あまりやったことがないので、今から考えると「もっと効果的にやっていれば、今苦労しないですむのにな」と思うこともあるが、当時はあれはあれで好き勝手に弾いていて楽しかったので、よかったのだろう。徹底的な訓練に偏ればピアノを嫌いになる可能性もあるし、逆にある程度の訓練を我慢しなければ技術的に上達しないわけで、その辺のバランスが難しいところだ。



「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 3 ピアノ練習法」

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