横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q28 毎日少しずつ練習 or まとめて練習?

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Q28. ずっと弾いていなかったピアノをまた独学で始めました。気分的にのっているときや時間があるときには、1日に4時間も5時間も弾いてしまいますが、そうするとその後に手が痛くなってきて、翌日はピアノを休んでしまいます。昔、先生に「毎日少しずつ練習するように」と言われた記憶がありますが、それはおとなになってからも同じでしょうか?時間的に融通がきかない今、何日かおきに何時間か練習する、というのでは上達しないのでしょうか。



 「毎日少しずつ練習するように」と教えてくれた先生はきっといい先生だったのだろう。もし「毎日たくさん練習するように」と言われたら、いやになって、後からもう一度ピアノをやろうなんて思わなかったかもしれない。

 僕の考えでは1日に4〜6時間くらい練習するのが理想だと思う。しかしこれはあくまでもプ ロフェッショナルの人たちとそこを目指す人のための話。一般的にはできるときにやればいいと思うし、そうするしかない。
 1日1時間ずつ毎日練習するのと、1日おきに2時間ずつ練習するのではどう違うのか、はっきりしたことは僕にもわからない。でも想像するに毎日少しずつのほうがいいような気がする。1回にどのくらいやるかということも大事かもしれないが、それより、弾いていない時間が2日近くもあると、より多くのことを忘れてしまうということのほうが大きいと思う。その論理でいけば同じ1時間でも朝昼夕に20分ずつのほうがよいのかということになるが、実際僕はそれは正しいのではないかと思っている。僕の場合でも急いで仕上げなければならない曲があるとき、その曲をずっとやり続けるより、インターバルをおいて頭をいったん違うモードにしてからもう一度やる、ということを繰り返したほうが最終的に早く仕上がる。

 ところでピアノが上達するという言葉はなんとなくわかるようで意味がとらえにくい。上達するということは、つまり新たなことに慣れることであり、またどれだけ自然に感じた通りに指や体を使えるかということだろう。何か新しいことを習得するといっても、それはそれまでの積み重ねがあるからなわけで、まったく新しい技術というのが突然マスターできるというようなものではない。だからこそ基礎が大事で、そこがしっかりしていればこそ、その上にもっと高度なことも積み上げられるわけだ。

 それぞれの人が皆、自分なりに時間の使い方を工夫してやっている。自分に合った方法を探すしかない。なかにはたくさんやらないと、のってこないというような人もいると思うけど、日に4〜5時間で手を痛めてしまう人には向かない。無理をしてはいけない。それでは楽しくもない だろうから。

 そして、忙しくとも時間を取れるかどうかは、その人の「ピアノをやりたい」という強い意欲に比例する。毎日少しずつでも休みの日にまとめてでも、その人なりのやり方を見つけてほしい。



「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 3 ピアノ練習法」

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