横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q15 ピアノは何歳から始めるべき?

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Q15. 娘に6歳からピアノを習わせ始めました。今小学4年生ですが、本人は「将来音大に行ってピアニストになりたい」と言っています。よく「3歳から習わないといけない」とか「習い事は何でも早いほうがいい」と聞きますが、6歳では遅かったのでしょうか。


 僕の知り合いのピアニストには、十歳を過ぎてからピアノを習い始めたという人もいる。彼がたとえすごい天才であったということを差し引いても、必ずしも何が何でも早く始めなければいけないとは思わない。子どもにとって一番必要なことは、「早くから習う」ことよりも「音楽がより身近に感じられる環境に生活がある」ことである。

 例えば子どもに「練習しなさい」と言いつつ、親は横の部屋でテレビを観ているような状況では、子どもは何のためにピアノをやらされているのかわからなくなるだろう。家でいろいろな音楽をたくさん流していれば自然に音感もつくだろうし、質問にある6歳という年齢は決して遅くはない。

 ただ、ここまでは感性の問題。技術的なことから言えば、それこそ言葉をしゃべり始めるのと同じくらいの時期から指を動かし始めるのがいいとも思う。早い時期に指を動かす訓練を開始したほうが、自分の感じた音楽を表現するために、より自然に指がついて回るようになるはずだからだ。また、肉体的な特性の問題もあるだろう。足が速い人もいれば遅い人もいるのと同じように、演奏家により向いている人もいれば、そうでない人もいるだろう。これは致し方ないことだ。

 「あんなに苦しい思いをしたのにピアニストになれなかった」などといって、将来音楽そのものまで嫌いになったりしないためにも、やはり小さいときから音楽に自然に接することのできる環境にあることが大事だ。だからといって「なりたい」と思ってピアニストになれるものでもない。もちろんなってしまうこともあるかもしれないわけだけれど!

「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 2 学ぶ・教える」

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