横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q45 ハイフィンガー奏法

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Q45. 以前ある高齢の先生にレッスンを受けたら、指を高く上げて弾く「ハイフィンガー奏法」で繰習しなさいと言われましたが、このあいだある音楽誌を読んでいたら、「その奏法は古いし、よくない」という記事を目にしました。



 僕の育った世代では、その有効性を理解した上で、いわゆる「ハイフィンガー奏法」を教えている人もまだ多くいたようだが、指を器械体操のように上げ下げして音を出すこの奏法は、指を鍛えるという点においての効果はあるものの、実際の曲の中ではあまり使う奏法ではない。僕自身はそういう習い方も弾き方もしていないが、かつて日本でこの奏法がもてはやされていた頃に海外に留学したら、欧米の先生に基礎からやり直されたという話がよくあったように、あくまでも「指を訓練するためのもの」ととらえるべきだと思う。

 しかし実際には、ただの訓線のために使ったその奏法を、いざ曲を演奏する段になったら別の弾き方に変えるというのも難しい。その結果、このハイフィンガー奏法で曲を演奏をすると、音色の幅が極端に狭くなり、音楽表現の可能性がずいぶん少なくなってしまうような気がする。音楽としての演奏表現はそれだけでは不可能だし、クセになってしまった場合にはマイナスにもなり得るだろう。それを踏まえた上で、あとは各自判断してほしい。



「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 4 テクニック」

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