横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q39 手首の脱力

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Q39. 音をしっかり出そうと思うと、手首がかたくなってしまい、力が入ってしまいます。



 「手首は音楽の中の呼吸を表している」、これはショパンも言っている言葉であるが、手首がかたく止まっていれば、硬直した音楽にしかならない。実際には音楽のフレーズとはこの呼吸とともにあり、歌で言えば息を吸うところで手首が上がり、フレーズのクライマックスで手首が下がるわけである。手首を自由自在に操れるかということも、ピアノ技術の大きな要素となる。もっともそのときに指自体が十分鍛えられている必要があるのは言うまでもない。

 すべてに当てはまるわけではないが、例えば音階のようなパッセージを弾いてディミニュエンドしようとするときに、指の打鍵する力を弱めていくのではなく、手首を徐々に上げていくことにより、鍵盤に伝わる重みを減らしていく方法もある。このようにニュアンスを自由自在にコントロールするためにも、手首というのは非常に重要なポイントになってくる。一方、和音で弾いたときには、ひじが手首と同じ役目をすることもあるわけだが、逆に手首やひじを動かしすぎることも危険なことだ。無駄な動きは音楽の流れを損ねかねない。

 まずは音楽における正しい呼吸法、要するに正しい音楽のニュアンスというものを、第一に理解しておく必要があるだろう。



「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 4 テクニック」

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