
ウーリッツァー社のヴァイオリン部門の解散
ウーリッツァーのヴァイオリン部門は驚異的な繁栄を続け、ランバートとサッコーニは、長い年月にわたって、数え切れないほどの名器の製作年代、その使用者、所有者、特徴および写真などの膨大なリストを作り上げた。これは、オールドーヴァイオリンに関する世界で最も優れた記録となったのである。その後、1963年に、ランバートがこの世を去り、未亡人のリー・ウーリッツァーが社長の座についた。
その当時のこの会社の最大の偉業は、1965年の、アメリカ最大のコレクションであった、ヘンリー・ホッテインガーの驚くほどの数の名器の購入であった。
(注)、ヘンリー・ホッティンガーは、ニューヨークの投資銀行の経営者で、アマチュアのヴァイオリン愛好家であった。その蒐集された楽器は、13本のストラディヴァリウスを始めとして、あらゆる名器と名弓が揃ったものであった。その金額は、当時としても、100万ドル以上であったと記録され、その輸送には武装されたトラックが用いられたと伝えられている。
サッコーニは、75歳の頃から緑内障と高血圧に悩まされながら、熱心に仕事を続け、1973年にこの世を去った。
楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止
▶︎▶︎▶︎第1章 39 ベアー商会
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