楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 51 先見性

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先見性

 ブドー酒は、味と香りが最高になるためには、ある種の熟成する年月を必要とする。特に最高な赤ワインには歳月が不可欠であると云われている。ヴァイオリンも、同様に、音色の壮大さと輝やかしさの双方が出せるためには、成熟する年月を必要とする。その理由は、ワインもヴァイオリンも天然のものでできた生き物であるためである。幸いなことに、ヴァイオリンには「何年もの」という定めはないが、その本領を発揮するためには、ある年月とある程度の使用度が必要なのである。
 新しいヴァイオリンは、何十年も乾燥させた材料を使ったとしても、エイジングによりその全能力を発揮できるには50年も掛るといわれている。つまり、作り上げた時点では、どのような楽器に変化するのかは
解らないのである。
 この点で、デル・ジェスは天才的な先見性を持っていた。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



▶︎▶︎▶︎2章 52 パガニーニとデル・ジェス 
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