楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 49 理想の楽器の出現

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理想の楽器の出現 

 彼が作り出した理想のヴァイオリンの寸法は次の通りであった。
  胴の長さ114インチ(35.cm)よりわずかに短いもの。
  アッパー・バウト ー7インチ(17.8㎝)
  ロワー・バウト  ー8インチ(20.3㎝)
  ウェスト14   ー1/2インチ(11.5㎝)以上
  リブ  ー上部つまりネックの側が 1 1/8インチ(2.9㎝)、下部つまりエンドピンの側が 1 3/16インチ(3㎝)
 胴の膨みは理想的で美しいもので、f字孔の形状も、全体の形を引き立てるように、長くて垂直に近く、中央部分が拡がり、上下の丸みのある部分も大きくなり、威厳を保つものとなった。さらに、ハーフリングも完璧で、スクロールもノーブルで頑強さを持ちしかも美しいものであった。
 板の厚さも数学的に正しく、さきに述べた彼のマスコットであったスプルースと古くて美しい虎斑模様のある良質の楓を組み合わせて、ストラディヴァリウスを超える、大音量で輝やかしさと芳醇さをそなえもち、しかも浸透性のある理想の音色を生み出すのに成功したのである ニスは、豊かな琥珀色あるいは黄紅色で透明なもので、スプルースや楓の模様を浮き上らせるように充分に塗られて、極めて豪華なものとなり、しかも軟らかさを保っていた。
 あらゆる点で完璧さが生み出され、デルージェスのヴァイオリッは、その音色の強大さと個性的である点で、ガスパロ・ダ・サロの楽器に霊気を与え洗練したようなものであると評された。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



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