横山幸雄ピアノQ&A136 から  Q19 プロのピアニストになるためには?

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Q19. 今中学2年生ですが、将来音楽大学に行ってできれば留学もして、プロのピアニストになりたいと思っています。


 ピアニストになりたくてなった人もいるかもしれないが、僕自身の経験を言えば、小さい頃から勉強していて好きだった音楽の占める割合が次第に自分の中で大きくなり、いつのまにか自分の生活の中心を占めていくようになっていったと同時に、その演奏をたまたま聴いてくださる人が多くいらしたことから、現在プロの演奏家としての生活が成り立っているという経緯である。
 「ピアニストになりたい」という憧れや夢を持つのは悪いことだとは思わないし、そのために努力をしようと思うことは決してマイナスには働かないと思うが、ピアニストになるにはいろいろな条件や運のめぐり合わせが必要だと思う。

 ピアノがとてもうまい人でも、人前に出て弾くことが非常に苦手であったり、本番で普段の力を出しけれなければピアニストにはなれないし、数多くの曲を同時にこなしていくには、相当な体力も必要となる。そういった条件に加えて、僕の場合でいえばショパンコンクール入賞のような何らかのきっかけがなければ、デビューすることもできないわけである。

 別の章でも触れるが、理想的にはどのくらい練習したほうがよいとか、こういう勉強をしたほうがよいなどということはあるが、それを満たしさえすればピアニストになれるというようなものではない。ここまで読んでそんな先の見えない道に進むことを躊躇するようであれば、所詮音楽に対する情熱もその程度ということになってしまう。若いときに自分の熱中できるものに我を忘れて取り組むということは、いずれの道に進むことになったとしても、素晴らしい成果をもたらしれくれるだろう。その結果がたまたまピアニストであるかそうでないかということで、これは誰にもわからないし、決められない。

 しかし、根気よく努力を続けていれば、きっとあなた自身にとって良いめぐり合わせと出会いがあるだろう。


「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 2 学ぶ・教える」

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