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※2018年時
都市
クロアチア/ザグレブ
日程
2018年2月14日~18日
審査部門
ピアノ / ヴァイオリン
2018年はピアノ部門
年齢制限
レビュー:9歳以下
カテゴリー1:10歳以下
カテゴリー2:12歳以下
カテゴリー3:15歳以下
カテゴリー4:18歳以下
カテゴリー5:24歳以下
賞(通貨:クーナ)
カテゴリー1・2: 1位:1.000,00 2位:800,00 3位:500,00 4位:350,00 5位:ディプロマ
カテゴリー3: 1位:2.000,00 2位:1.500,00 3位:1.200,00 4位:800,00 5位:ディプロマ
カテゴリー4・5: 1位:3.000,00 2位:2.200,00 3位:1.600,00 4位:1.000,00 5位:550,00
総合優勝賞、エチュード最優秀賞、バッハ作品最優秀賞 他
開催周期
毎年
次回開催
2020年(部門は毎年異なる)
問
Music School Pavao Markovac
Trg žrtava fašizma 9, Zagreb 10000, Croatia
Tel:(+385)1-4552-590
Fax:(+385)1-4552-858
http://www.glazbena-skola-pavla-markovca.hr
http://www.mladivirtuozi.org/index.php/en/
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月刊ショパン 2018年4月号 p.71より転載
世界のコンクール便り vol.57
文/アーリンク明美 (ピアニスト/アーリンク=アルゲリッチ財団)
総合優勝 ヤン・ニコヴィッチ(16歳、クロアチア)
〈カテゴリー5:24歳以下〉
1位 ---
2位 イヴァナ・ダムヤノフ(18歳、セルビア)
3位 ---
4位 イヴァン・ボザニッツ(18歳、クロアチア)
5位 アデム・メーメドヴィッツ(22歳、セルビア)
ファイナリスト クレメンテ・プルデンシオ(21歳、オーストリア)
写真は、審査員と最年少カテゴリー“レビュー”(8歳以下)の参加者。このカテゴリーでは全員にディプロマが与えられた
1991年にユーゴスラビアから独立したクロアチアの首都ザグレブ。空港や音楽アカデミー等モダン
な建築物も増えてきているものの、中世の面影が未だ残り、あちこちにリツィタル(赤いハートのクッキー)が見かけられてどこか愛らしい。この町で毎年開催されており、今回で24回目(国際コンクールとしては20回目)を迎えた〝ヤング・ヴィルトゥオーゾ国際コンクール〞。数年前までは〝エチュード&スケール〞と名付けられ、実際にスケールも課されてい
たピアノ部門。現在は課題からスケールは外されたが、レビューカテゴリー以外には一曲以上のエチュードが課されている。毎回クロアチアの作曲家の作品が必須課題になっているが、今年はコンポーザーピアニストのブルノ・ヴラへック氏が、ピアニスティックでフランスのエッセンスも取り入れた五曲のエチュード(※)をこのために書き下ろした。
※興味のある方は、こちらのウェブサイトから楽譜の入手も可能。http://www.mladivirtuozi.org/index.php/en/compulsory-pieces.html
写真は、カテゴリー4(18歳以下)で1位入賞、総合優勝のヤン・ニコヴィッチ。彼は〝バッハ作品最優秀演奏賞、“古典ソナタ最優秀演奏賞”も併せて受賞
今回はカテゴリー4と5のファイナル、入賞者演奏会を鑑賞。総合優勝をしたのは、カテゴリー4のヤン・ニコヴィッチ(16歳)。彼のハイライトは、《ハンガリー狂詩曲第10番》のグリッサンド! それぞれのニュアンスが最高で、思わず笑ってしまった。このコンクール審査委員長、約30年来マスタークラスや審査で来日もされているペーター・アイヒャー氏は「近年の若者たちの指さばきは巧みだが、古典作品をきちんと弾ける子が少ない」と、〝古典ソナタ最優秀演奏賞〞を自ら提案し、ニコヴィッチに授与された。入賞者演奏会で子供たちが一生懸命に演奏する姿には頬が緩んだ。
このコンクールの名は日本ではまだ知名度が低いかもしれない。しかし、前回のショパンコンクールのファイナリスト、エリザベートコンクールの入賞者であるアリョーシャ・ユーリニッチは総合優勝(2004年)、 昨年のブゾーニコンクールの覇者イ
ヴァン・クルパンは一位(2014年、カテゴリー4)をこのコンクールで受賞している。
来年はヴァイオリン部門。ピアノ部門は2年後に予定されている。
写真は、コンクールアドヴァイザー兼審査員のイェリッツァ・クズミン氏から表彰される、カテゴリー5で2位入賞のイヴァナ・ダムヤノフ。演奏も外見も大人っぽい彼女。《スカルボ》や《メフィストワルツ》といった曲で、悪魔的な雰囲気を出すのが上手い。ヴィルトゥオーゾ作品賞も受賞