楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 44 最初の時期(1710~1721年)ー徒弟時代

HOME > メディア > 楽器の事典ヴァイオリン > 楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 44 最初の時期(1710~1721年)ー徒弟時代
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最初の時期(1710~1721年)ー徒弟時代

 デル・ジェスがいつ生まれたかは、さきに述べた通り、確認できないが、1698年と仮定すると、12才から23才までとなる。
 この時期には、彼は、父のヨーゼフのもとで、徒弟として慟いていたと記録されている。
 一説に、デル・ジェスはストラディヴァリのもとで修業したという言い伝えがあるが、ヒル商会の研究では、これは事実無限であると説明されている。事実、この時期の彼のヴァイオリンには、ストラディヴァリの面影は全くなく、むしろ、ブレッシアのガスパロ・ダ・ サロの力強くて荒々しい作品に似ていた点が見出されるという。いうまでもなく、その形態は定まっておらず、ただ音色だけは極めて強大であった。胴はフラットに近く、f字孔は長く、スクロールは貧弱で、ニスは、クレモナのニスの伝統を持ち、夏の落日のように黄金色に輝やくものであるが、急いで塗ったためか、ムラが多かったと記録されている。
 しかし、優れた楽器もあって、ノルウェーの有名なヴァイオリン奏者のオレ・ブルはこの時代のデル・ジェスの楽器を使っていた。
 
 (注) オレ・ブル(1810~1880) ーヨーロッパ各地の演奏旅行で大成功をおさめ、1843年に渡米し、さらに芸術的にも金銭的にも大きい成果をあげた、テクニックおよび音楽上でも最高のセンスを持っていたヴァイオリン奏者。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



▶︎▶︎▶︎2章 45 第2の時期(1722~1728年)ー暗中模索の時代
▷▷▷楽器の事典ヴァイオリン 目次

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 
KAWAI
YAMAHA WEBSITE