
その音色
アマティ・ファミリーが作ったヴァイオリンは、アマティ・トーンともいうべき独特の音色を持っていた。愛らしく、甘く、銀の鈴を振るような、時にはナイチンゲールのさえずりにも比すべき音色であった。それはストラディヴァリウスの柔らかくて豊かなオーボエに似た音色や、良質のガルネリ・デル・ジェスのフレンチ・ホルンのように、よく響きわたる音とも全く違っていた。
アマティのヴァイオリンのほとんどは、大きくカーブした表板をもっている。アンドレアの息子たちは父のモデルを発展させ、また、孫の二コロは15歳の時から祖父の工房で働き、祖父のヴァイオリンの素晴らしさに傾倒して、さらに優れたものを作り上げた。
楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止
▶︎▶︎▶︎2章 7 音色の嗜好の移り変り
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