楽器の事典ヴァイオリン 第1章 ヴァイオリンの誕生とその時代による変遷 29 19世紀の中頃

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19世紀の中頃

 1850年を中心とした前後の半世紀の間は、パリが、ヴァイオリンの生産活動の中心地として、ヴァイオリンの世界を支配していたといえるし、また、その支配の中心人物はJ・B・ヴィヨームであった。
 もっとも、彼に競争者がなかったわけではない。ルポーの伝統技術はガンやベルナーデルによって受け継がれていたし、シャノーの名声はむしろヴィヨームをしのぐ程のものであった。
 しかし、ヴィヨームは、二コロ・アマティがクレモナを支配していたように、パリのヴァイオリン界の中心人物的役割を果したのは事実である。
 彼の生涯に作り出した楽器は、3000個以上にのぼると記録されている。
 (注)、彼の楽器の内側には、鉛等で製造番号が書き入れられている。これは驚異的な数量である。
 
 イタリアのガルネリ一家は、5代にわたってヴァイオリンを作り続けたが、その製作した楽器は、全部合わせて約1000本である。
 ストラディヴァリは、その長命と勤勉さにより、生涯に製作した楽器の総数は、確実には解らない。ヤロペックの専門書によれば、3000本とあるが、これは、些か大げさと思われ、実際には、1200本か1500本製作したといわれている。
 多分、古今東西を通じて、手工品の優れたヴァイオリンを多量に作りだした双璧はストラディヴァリとヴィヨームであろう。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止


▶︎▶︎▶︎第1章 30 J・B・ヴィヨーム
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