楽器の事典ヴァイオリン 第1章 ヴァイオリンの誕生とその時代による変遷 16 導入

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導入

 18世紀の初頭から後半にかけては、ヨーロッパ全土にヴァイオリン製作の技術が伝わり、各地で盛んにヴァイオリンが作られ始めた時期である。
 ドイツのミッテンヴァルト、フランスのミルクール、ポルトガルのリスボン、スウェーデンのストックホルム、イギリスのロンドンおよびチェコのプラハなどが挙げられる。
 この時期までは、大部分のメーカーたちはスタイナーとアマティのモデルを真似てヴァイオリンを作ったのである。
 (注)、その頃は、世の中も静かで、大編成のオーケストラなどでヴァイオリンが主役として活躍することもなく、主として宮廷音楽や貴族や王侯のための室内楽として使われたので、甘美な音が尊重され、現在のように音量は問題にされなかったのであろう。また、現在の方式の弓も作られておらず、軽くて短かい弓であったため、スタイナーやアマティ方式の楽器が好まれたと思われる。
 ヴァイオリンの誕生地であるイタリアでさえこの流行の影響を受け当時のピエトロ・ガルネリやカルカッシーの楽器にはその傾向が見受けられる。

楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止


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