楽器の事典ヴァイオリン 第1章 ヴァイオリンの誕生とその時代による変遷 8 導入

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導入

 17世紀の始めまでのヴァイオリン奏者は、ブレッシアの楽器よりクレモナのアマティの楽器を好んで使用した。
 その証拠として最も明白な点として、当時、クレモナの楽器がブレッシアの楽器より高価であったという記録が残されている。
 したがって、その頃のヴァイオリンの多くはアマティ型をモデルとして作られている。
 しかし、ヴァイオリン音楽の嗜好の変化により、18世紀、特に19世紀に至って、ブレッシア型の楽器が見直され、その襞作法がモダン・ヴァイオリンの製作に導入されたのである。
 17世紀以前、つまり16世紀の末期にはイタリア以外の国々でもヴァイオリンは作られていた。しかし、記録に残されるような優れた楽器は作られていない。
 しかし、その頃、イタリアのヴァイオリン製作技術は、アルプス越えのルート、例えばインスブルックなどを通じて、他の国々に伝えられ始めた。
 17世紀にはヴァイオリンの製作技術と演奏技法がヨーロッパ各国に広がったのである。
 
 17世紀の始め、つまり1609年にガスパロ・ダ・サロがこの世を去り、さらに1632年にマジーニが死去して以来、ブレッシアのヴァ
イオリンの製作は急激に衰退し始め、クレモナの技術の独壇場となり、やがて二コロ・アマティとドイツのヤコブ・スタイナーの二人の巨匠がヴァイオリンの世界を主導する時代が到来した。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止


▶︎▶︎▶︎第1章 9 ヴァイオリンの普及
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