楽器の事典ヴァイオリン 第1章 ヴァイオリンの誕生とその時代による変遷 5 導入

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[画像]イタリアのヴァイオリンメーカーのツリー

導入

 さきに述べた通り、ヴァイオリンの誕生に関しては、五里霧中で、全く解明されていない。
 十九世紀までは、ヴァイオリンはヴィオールを改良して作り出されたものと信じられていた。
 しかし、今世紀の始めに、古代楽器の復活で有名なイギリスのアーノルドードルメッチその他の学者がこれを否定し、ヴァイオリンは、十六16世紀の始めに、突如としてその姿を現したという定説が根づいたのである。
 ヴァイオリン属つまりヴァイオリン、ヴィオラおよびチェロは、ルネッサンスの後期、つまり1550年頃に音楽家たちに普及したというのが定説となっている。
  (注)、その当時のヴァイオリンは、弦の数、調弦法、形体および大きさはコンテンポラリー・ヴァイオリンとほとんど同じであったが、弓の形態、部品および奏法、音色などは異ったものであった。
 (注)、その主な相違点としては、弦の張力が弱く、ネックが太くて短かくて胴に対して平行につけられ、指板は短かくて厚さがナットの側で薄く、駒が低く、魂柱が細く、しかも弓が、現在のものと較べて、軽くて反対惻に反っていたため、音色がフルートのように純粋で音量が小さいものであったなどの諸点が挙げられる。なお、この古い形態のヴァイオリンは、18世紀の後半から19世紀の始めにかけて、主としてフランスで、大半がモダン・ヴァイオリンの形態に改造されたのである。
 (注)、4本弦のヴァイオリンが出現する以前の16世紀の初頭には3本弦のヴァイオリンがあった。第一弦つまりE線を除いたもので、イタリアのフェラリおよびミラノにその絵画が残されているという。
 (注)、その頃、フランスとポーランドにもヴァイオリンらしいものがあったという記録があるが、ヴァイオリンの揺り籠はイタリアのミラノ(ブレッシアおよびクレモナを含む)およびヴェニスであるというのが定説となって
 いる。
 (注)、ヴィオラとチェロは、残された絵画によれば1535年頃に出現したとされている。
 (注)、誰がヴァイオリンを発明したかは全く解らない。しかし一人で作り出したとは到底考えられない。 

 グローブの音楽百科事典によれば、イタリアのブレッシアの楽器メーカーであったジョヴァンニージャコモーダラーコルナという長い名前の人と、ザネットーモンティチイアロなどが、最初のヴァイオリンを作ったと記録されている。しかし、最初に有名となったメーカーは、アンドレアーアマティ、つまりクレモナ派の創始者である。しかし、彼の生まれた年は確定できず、1511年以前であり、多分1500年から1505年頃であろうとある。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止


▶︎▶︎▶︎第1章 6 ゲルマン人が創り出したという説
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