楽器の事典ヴァイオリン 第1章 ヴァイオリンの誕生とその時代による変遷 6 ゲルマン人が創り出したという説

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[画像]カスパール・ティーフェンブルッカー
パリ国立図書館
この古い版画の下部にヴァイオリンらしい楽器があるので彼が発明者であるという一説もある。


ゲルマン人が創り出したという説

 ルネッサンスつまり文芸復興の時代は、その言葉の通り、大きい変革が起きた頃で、音楽の上でも、新しい作品が出現し、楽器もさまざまに変化したと伝えられている。
 現在の定説では誤りであると信じられているが、古いヴァイオリンの研究書には、その頃、ババリアのフュッセンとよばれる村に、ティーフェンブルッカーとよばれる楽器メーカーの一家があり、イタリアのパドウア、ヴェニスあるいはフランスのリヨンで活躍して、新しい楽器を作り出したと記録され、そのなかの最も有名なカスパー・ティーフェンブルッカー(1514〜1572)がヴィオールを改良してヴァイオリンを作り出したという記録がある。
  (注)、カスパーはガスパードあるいはガスパロとも伝えられている。
 
 フランスで出版された人名辞書によれば、彼は15世紀の末期に南チロルで生まれ、イタリアのボローニャで楽器を作り、その後、フランスのフランソワー世に招かれてパリに移り、最終的にはリヨンに住みついたとある。
 また、他のフランスの研究者によれば、彼は、1514年にババリアのフュッセンで生まれ、1550年頃にリヨンで仕事をしたとある。
 1562年に作られた彫刻に、カスパー・ティーフェンブルッカーが楽器に囲まれたものがある。その彫刻の下側に、半分隠されたアルト・ヴァイオリンがあり、その形がヴァイオリンに酷似しているのである。
 ティーフェンブルッカーは、さまざまな国で、優れた楽器メーカーであったと記録されているが、彼が最初のヴァイオリンの製作者であったという論説には全く根拠がない。
 
カスパールの言葉.png[画像]彼が残したと伝えられる言葉
一私は林の中に静かに住んでいたが、ある日、残酷な斧で殺されてしまった。生きている間は囗がきけなかったが、死んでからは美しい歌を唱いつづけるー


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止


▶︎▶︎▶︎第1章 7 初期のヴァイオリンの二種類の形態
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