横山幸雄ピアノQ&A 136 から Q1 ピアノの魅力とは?

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さまざまな楽器の中でも、特にピアノは学習者や愛好家の多い楽器だと思います。どんなところが魅力なのでしょう。

 

 僕にとっては、例えば文章にしたり言葉でしゃべるよりも、「もっと自然に素直に自分の感じているものを表現できるものが、ピアノという楽器である。言葉も重要なコミュニケーションの手段の一つなのだが、共通の言語を理解できなければ会話が成り立たないし、同じ日本人同士だって人によって言葉の選択や定義が微妙に異なることも少なくない。音楽はそういった限定された方法ではなく、ピアノを勉強したであろうがなかろうが、さまざまな国、地球の裏側に住んでいる人々とも、共通の感動を分ち合うことができる。

 音楽の中でも、特にピアノはよく楽器の王様と言われるが、それは他の楽器と比べて、同時にたくさんのことができるからだ。例えばヴァイオリンは弦が四本しかないから、四つ以上の音を一度に出すことはできないし、厳密にはその四つさえも一度に出せるわけではない。歌や管楽器はもちろん単旋律。それに対してピアノは、十本の指とさらにペダルの効果によって何人もの人が集まってつくり上げる合唱のようなことを演奏できるわけだし、多くの弦楽器や管楽器によって成り立つオーケストラのような壮大な構想の音楽も奏でることができる。

 逆に、ヴァイオリンのように途中でビブラートをかけたり音を大きくするということは、打楽器であり音が減衰してしまうピアノには不可能だ。だが、優れた演奏者ならば、それに匹敵するような効果をピアノから引き出すことができる。つまり、「ピアノという楽器をどのくらい歌わせることができるか」、これがおそらく優れたピアニストにとっての最も重要な要素となる。聴く人の耳には、あたかも音の途中でクレッシェンドをしたり、もしくは変幻自在に色彩が変わるように音色が変化して聴こえるはずだ。かくして、限りなく豊かな表現が可能になり、生きた音楽となる。

 さらにピアノはすべての楽器の中で、最も簡単に音を出すことができる楽器であると同時に、オーケストラの各楽器の役割、それらをまとめる指揮者としての要素など、同時にいろいろなことをしながら、さらにそれらをコントロールしなければいけないという点で、非常にバランス感覚が要求される楽器であるとも思う。

 

 「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 1 ピアノの楽しみ」より

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