横山幸雄ピアノQ&A 136 から Q3 クラシックって難しい?

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ピアノ曲やクラシック音楽というと、堅苦しく高尚なイメージがあって、どうもなじめません。あらかじめ勉強して知識を得ておかないといけないような気がして……。

 

 例えばバッハやベートーヴェンの音楽が、何百年経った今日でも新鮮な感動をもたらしてくれるのは、それらの作品が多くの魅力を持っているからだ。いわゆるクラシック音楽という言葉自体、いかめしくてあまり使いたくはないのだけれど、あえて説明のために使うのであれば、クラシック音楽は偉大であるから当然のように今日まで残っているわけだ。

 過去の偉大な作曲家はもうすでにこの世にいない。しかし、その作品だけはいつまでも新鮮な輝きを持って残っており、だからこそそれを再現するのが演奏家の役目だ。だがその演奏家もまた、永遠の存在ではない。よって、音楽とは「次の世代へと伝えていく一種の伝承芸術」であると言えるだろう。

 そういったものに対して、少し前の我が国では「ありがたいもの」として聴くことによって、「堅苦しくて楽しめない」という人も多かったのではないかと思う。最近では逆に、ありがたみも忘れてしまい、表面的な面白さを追い求める傾向があるような気がする。どちらも正しい方向とは言えない。

 演奏者側からすれば、過去の作曲家というのは心から尊敬すべき先輩たちであり、その神がかり的な偉大な産物に対して足元にも及ばないと思うときさえある。しかし、演奏を聴く側の人が音楽に感動するのは、とりあえず難しいことはさておいて、素晴らしい音楽と素直に自然体で向かいあったときだろう。そこに少しでも尊敬の念があればさらに良い。

 また、同じ曲でも演奏者が違えば違った魅力を持って聴こえると思うし、同じ演奏家でもその日のコンディションや楽器の調子、ホールや聴衆の雰囲気によっても違った演奏になってくる。そういった違いも楽しめるのが演奏会の魅力だと思う。

 CDで聴く場合においてだって、録音されている情報としては一定なはずだが、百回聴いたら百通りに聴こえるはずである。初めてその作品を聴いた時の印象と、頭の中で諳んじられるくらいまで聴いてから受ける印象とは、同じものではないと思う。また、朝目覚めたときに聴くのと、夜疲れているときに聴くのとでは、やはり違う印象を受けるだろう。

 つまり、「こういうものを聴きたい」と思い、自分の持つ自然の感覚のままで、音楽に向かいあったらよい。その結果、さらに深く作品を知りたいと思う人もいれば、いろいろな作品を聴いてみたいと思う人もいるだろう。要はとりあえず一度、素晴らしい音楽の海の中にどっぷりとつかってみてはいかが?

 


 「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 1 ピアノの楽しみ」より

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