マクベス[全4幕]ヴェルディ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. F. Verdi, Macbeth 1846~47
マクベス[全4幕]ヴェルディ作曲

 
登場人物

マクベス(Br) マクベス夫人(S) バンクォー(B) マクダフ(T) マルコム(T)他

概説

 原作の重苦しい雰囲気がよく出ているヴェルディの初期の名作である。題名役のマクベスよりもマクベス夫人に大きなアリアが三曲与えられているのが大きな特徴である。初演は大成功だったが、1865年パリでの改訂版初演は失敗であった。

第一幕


 第一場 フォレス付近の荒地。雷鳴と稲妻の中を魔女たちが呪文を唱えながら踊っているところに、ダンカン王に仕える将軍マクベスと武将バンクォーが通りかかる。魔女たちは、マクベスにはコーダーの領主になった後やがてスコットランドの国王になると予言し、バンクォーには国王の父になるだろうと言う。そこにダンカン王の使者が現れて、マクベスがコーダーの領主に任じられたと伝える。二人は魔女たちの予言が当たったことに驚き、マクベスは王位への野心を燃やす。
 第二場 マクベスの城内の一室。マクベス夫人が夫から来た手紙を読みながら入って来て、魔女の予言に、自ら夫の野心に火をつけてみせようと言う(「勝利の日に…早く来て、明かりをつけておくれ」)。召使が今夜マクベスとともにダンカン王一行が来訪すると知らせるので、今夜こそ王暗殺の機会だと叫び、帰城した夫に今夜のうちに短剣で王を殺すようそそのかす。城に到着した王一行はそのまま別室に入って夜になる。マクベスは短剣を前にして幻影におびえるが、夫人の合図のベルで王の寝室に入って行く。
 やがて血のついた短剣を手にして戻ったマクベスは、夫人に王暗殺の恐ろしい光景を物語る。夫人は夫を力づけ、おびえる夫から短剣を取り上げると、酒に酔って寝ている衛兵に血をなすりつけて逃げ去る。やがて王を起こしに来た貴族マクダフとバンクォーが、惨殺されている王を発見して慌てて皆を呼ぶ。マクベス夫人も素知らぬ顔で現れ、一同殺人者は地獄へと叫ぶ。



第二幕


 第一場 マクベス城内の一室。マクベスと夫人がうち沈んでいる。マクベスは魔女の予言通り国王になったが、今度はバンクォーが国王の父になるという予言に不安になり、夫人と相談してバンクォー親子の殺害を計画する。夫が立ち去った後、夫人は王位を守るためには別の罪を犯さねばならない(「日の光が薄らいで」)と残忍さをむき出しにする。
 第二場 マクベス城に近い夜の公園。マクベスの命令を受けた刺客たちが集まり、日が沈むと木陰に身を隠す。そこに息子を連れたバンクォーが通りかかる。彼は不吉な予感に襲われて足早に立ち去ろうとすると、その途端に姿を現した刺客に殺されるが、息子は逃げ去る。
 第三場 城内の大広間。マクベスの国王就任を祝う宴会が開かれている。マクベスに促されて夫人が乾杯の音頭を取る。そこに刺客の一人が戻って来て、バンクォーは暗殺したが息子は取り逃がしたことを伝える。
 マクベスが欠席のバンクォーの席に座ろうとすると、バンクォーの亡霊が座っているのが見える。取り乱すマクベスの気を鎮めながら、来客の座をとりもとうとして夫人は懸命に乾杯の歌を繰り返すが、再び現れたバンクォーの亡霊に向かって錯乱状態になったマクベスが剣を振りかざすので、祝宴の座は白けて、人々はマクベスの罪を見抜く。 


第三幕 


 魔女たちの洞穴。煮立った大釜を中心に魔女たちが妖気に満ちた歌を歌い、気味悪い踊りを踊っていると、先行きが不安になったマクベスが助言を求めにやって来る。幻影が現れて三つの予言をする。まずマクダフに気をつけること、次に女から生まれた者でマクベスにかなう者はいないこと、そしてバーナムの森が向かって来るまでは負けないこと。
 マクベスは、以前から不安になっているバンクォーの息子が王位につくという予言について尋ねるが、魔女たちはそれに答えず、歴代の八人の王の亡霊を見せる。その最後は手に鏡を持ったバンクォーなので、マクベスは恐怖のあまり気絶する。魔女たちが立ち去ったところに夫を探しに夫人がやって来る。マクベスの話を聞いた夫人は、マクダフ一家とバンクォーの息子を殺してやると言い、二人で罪の遂行を誓う。


第四幕


 第一場 スコットランドとイングランドの境界にある荒地。遠くにバーナムの森が見える。マクベスに追われたスコットランドの亡命者たちは祖国に帰れる日を待ち焦がれ(「踏みにじられた祖国」)、城を焼かれ妻子を殺されたマクダフは父親としての無念さを歌う(「おお、息子たちよ…おお、父の手は」)。そこに前王ダンカンの遺児マルコムがイングランド軍の兵士を連れて現れ、バーナムの森の木を切ってそれに姿を隠して進軍するよう命じて、マクダフとともに復讐を誓う。
 第二場 マクベス城内の広間。夢遊病となって毎夜のように城内を徘徊し、手についた血痕を洗うようなしぐさを繰り返す夫人について、医師と侍女が噂をしている。そこに当の夫人が入って来て、不気味なしぐさをすると、あらぬことを口走る(「消えてしまえ、呪わしいこのしみよ」)。
 第三場 マクベス城内の一室。マクベスはマルコムが敵方イングランドと組んで攻撃して来たのを知ると、裏切り者と罵り、小僧などに負けるものかと言う(「裏切り者め!…哀れみも、誉れも、愛も」)が、その時夫人の死が伝えられ、部下の兵士からはバーナムの森が動いて来たと知らされる。マクベスは不吉な予言を思い出しながらも出陣する。
 第四場 広野の戦場。マルコムの軍はマクベスの軍を追い、マクダフとマクベスの一騎打ちとなる。マクダフは、自分は女から生まれずに母親の腹を破って出て来たのだと叫ぶので、マクベスは力が抜け、マクダフに討ち倒される。一同はマルコムを新王とたたえ、勝利の喜びを歌う。



Reference Materials


初演

1847年3月14日 ペルゴラ座(フィレンツェ)

原作
ウィリアム・シェイクスピアの同名戯曲

台本 
フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ、アンドレア・マッフェイ/イタリア語

演奏時間 
第1幕49分、第2幕30分、第3幕33分、第4幕42分(アバド盤CDによる)

参考CD
●ヴァーレット、ドミンゴ、カプッチッリ、ギャウロフ/アバド指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(DG)
● カラス、マスケリーニ、ペンノ、ターヨ/デ・サバタ指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(EMI)

参考DVD
●グレギーナ、ルチッチ、レイリー/レヴァイン指揮/メトロポリタン歌劇場管・唱(EMI)

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



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