Q12. ピアノが大好きで毎日3時間は練習し、毎週レッスンに通っています。もっと上手になりたいと思っているのですが、どのようなことに気をつければよいですか。
本来音楽とはとても感覚的なもので、感動したり楽しんだりという感性が原点にある。
まずそこに立脚点があった上で、「より自分の心の中のイメージに近い演奏をする」「より自分の理解力を深める」のを助けるために先生がいるわけだ。また、良い先生であれば生徒が無駄に回り道をしているときや、道を踏み外しそうなとき、適切なアドヴァイスをくれるだろう。そういう先生の役割を考えてみたならば、もともと表現したいものや感じているものが生徒自身の中になければ、先生のほうから与えられるものは、あまりない。
「先生にそう言われたから」「楽譜にそう書いてあるから」とあまり考えもせず機械的に練習しても効果は少ない。感じないままに並べられた音は単なる音の羅列であって、生きた音楽ではない。「なぜそうしなければいけないのか」を常に感じながら取り組んでいけば、練習するモチベーションにもなるし、たとえそれが技術の機械的な訓練であったとしても、それによって表現される音楽が見えていれば、より楽しく勉強できるだろう。それに先生が一生教え続けてくれるわけではないのだから、自分の感性の幅に広がりがなければ応用も利かないだろう。
勉強する立場の人にはいろいろなシチュエーションの人がいると思う。一般的にどんなに忙しいと思っている学生でも、社会へ出て仕事を持っている人に比べれば、ある程度時間がとれるのではないだろうか。人それぞれの生活スタイルの中で、自分に合った勉強法を見つけていってほしい。
いずれの場合においても、より音楽を感じる感性を磨き、また演奏として表現するときには、自分の心の中でイメージする理想に近づいているかよく注意深く聴きながら練習することだろう。それが上達のためにも、また何といっても時間の短縮に大いに役立つはずだ。
「横山幸雄ピアノQ&A136 上 part 2 学ぶ・教える」
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