楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 39 日陰者 

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日陰者

 ヨーゼフは、1720年以降は、殆ど楽器を作っていない。最後のものは、1731年のチェロである。彼はその時65才で、祝福された
楽器メーカーとしては、最良の年齢と云えるはずである。多分、彼は家庭的にも幸せでなく、仕事についての関心を失ってしまったのであろうと想像される。
 ヨーゼフ・ガルネリは、1740年に、この世を去ったが、残されたものは借金だけで、彼より2年先立った妻のバーバラ・フランチの墓の隣に埋葬されることもできなかった。彼が、家庭を捨て、どこか他の場所で死んだと推測する歴史家もいる。
 ジョセフにとって悲劇的であったのは、常に彼よりも偉大なヴァイオリン製作者たち、つまり、彼の兄の「マントゥーアのピエトロ」、隣人であったストラディヴァリ、および、後の息子のジュゼッペ・デル・ジェスなどによって、常に日陰者の位置に立たされていたことである。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



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