
ヨーゼフ・ガルネリ
アンドレアの相続人となったヨーゼフ(1666〜1740)は優れたヴァイオリンーメーカーであった。しかし、皮肉なことに、彼の名を不朽にしたのは、彼がデル・ジェスの父親であったからである。
ヨーゼフは、アマティのモデルに倣った楽器を作り、これに彼自身の工夫を加えた。また、彼のヴァイオリンには、仲が良かった兄の「マントゥーアのピエトロ」の影響も少しは見受けられる。なお、専門家のなかには、ヨーゼフの楽器がストラディヴァリの影響を受けていると主張する者もいる。これは考えられないことではない。その頃、彼等は、クレモナのサン・ドメニコ地区の隣人であったから、互いに密接なグループを作り、訪問し合ったり、楽器の研究について論じ合ったりしたに違いない。多分、彼等の間には、互いの賞讃と嫉妬が入り交じった感情があったであろう。
楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止
▶︎▶︎▶︎2章 38 彼のヴァイオリン
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