楽器の事典ヴァイオリン 2章 オールド・ヴァイオリンの名器 21 ヒエロニムス2世のヴァイオリン

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ヒエロニムス2世のヴァイオリン

 ヒエロニムス2世は、現在極めて優れたヴァイオリン製作者と見なされているが、5才年長のストラディヴァリと較べて見劣りするのが不運であった。ヒエロニムス2世が1686年に作った極めて美しいヴァイオリンが、ホッティンガー・コレクションを通じて、ニューヨークのウーリッツァー商会の手に渡ったが、その行方は現在では不明である。その楽器は「真珠」と呼ばれていた。その理由は、スクロールの両サイドに美しい真珠の星がついているからである。このヴァイオリンはスペインのカルロス4世王の楽器コレクションに属していたもので、王のお気に入りのヴァイオリンと云われていた。優雅で繊細で、疑いもなく偉大なアマティの伝統を受け継いだものであった。彼は「豪奢なパターン」のモデルを引き継いでおり、ニスは赤褐色である。ラベルで彼は自分のことを次のようによんでいた。

“HIERONYMUS AMATI FIGLIODI NICOLO AMATI CREMONA17”

 彼はおそらく父のかなりの財産を相続したのであろう。その理由は、彼が、父の死以後、殆ど楽器を作らなかったからである。あるいは彼は、恵まれた隣人ストラディヴァリとの競争によって意気をくじかれたのかもしれない。ヒエロニムス1世はクレモナで、1740年2月21日にこの世を去った。ストラディヴァリの死の3年後であり、デル・ジェスの死の4年前であった。


楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止



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