
自由市場としての発展
1789年のフランス革命は、ヴァイオリンの製作とその販売方法に画期的な変革をもたらした。つまり、従来、宮廷や富裕階級のために作っていた楽器が大衆のものとなり、さらに中世からのギルド(職人組合)の制約からも開放され、ヴァイオリンのビジネスは、貴賤の如何を問わず、誰でも作れ、誰でも販売できるという自由を獲得したのである。
フランスで開発されたモダン・ヴァイオリンとモダン・ボウは、従来のものと較べて、ずば抜けた性能を持っていたので、革命で得られた自由の精神と共に、ヨーロッパ各国に伝えられ、ヴァイオリンの業界は、自由市場として、従来のパトロンからの制約から開放されて、発展し始めたのである。
特に当時のパリとミルクールはモダン・ヴァイオリンとモダン・ボウの世界の生産の中心地としての役割りを果した。
楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止
▶︎▶︎▶︎第1章 23 当時のヨーロッパ各国のヴァイオリン
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