楽器の事典ヴァイオリン 第1章 ヴァイオリンの誕生とその時代による変遷 2 その祖先と思われる弦楽器

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[画像]北イタリアのフィドル

その祖先と思われる弦楽器

 ヴァイオリンの先祖と推定される弦楽器には次のようなものがある。
 まずアラビアのラバーブ、および中世のオリエントの、西洋梨のような形をした、レベック。後者は、十五世紀にスペインとフランスで広く使われたものであった。
 ゴシック時代のヨーロッパでは、フィデュラ、あるいはフィドル、フランスにはヴィーユ、イギリスにはクルース、およびイタリアにはヴィオラとよばれる楽器があった。
 なお、東洋の中国の胡弓、馬頭琴なども、強いていえば、祖先といえるであろう。これらは、いずれも、弓を使う擦弦楽器である。しかし、これらの諸楽器とヴァイオリンと較べた場合、共通点は極めて少ない。
 ヴァイオリンは、ずば抜けた音楽的性能を持ち、しかも特殊な優れた構造を持っているのである。
 誠に信じがたいことであるが、ヴァイオリンは、他の楽器や工芸品と異って、次々と改良を加えられて発達したものではなく、最初から、改良の余地のない完成品として生み出された。
 つまり、原始的なヴァイオリンというものはなく、忽然として、完璧な楽器として、出現したのである。
 その証拠として、その後何百年もの間に試みられた改良は、本体の構造に関する限り、すべて失敗に終っている。
 この理由は、誰にも説明できないもので、何とも不思議な楽器である。

フィドル 背面.png
[画像]フィドル背面

フィドルヘッド.png
フィドル ローゼっと.png
[画像]フィドルのヘッドとローゼット
 
楽器の事典ヴァイオリン 1995年12月20日発行 無断転載禁止


▶︎▶︎▶︎第1章 3 その名称は男性名詞か女性名詞か
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