楽器の事典ピアノ 第7章 ピアノの種類およびその構造と機能 3 フルサイズアップライトとコンソール、スピネット

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ピアノの形状・サイズとそれらの性能の差異

フルサイズアップライトとコンソール、スピネット
 
 ピアノはこ収置する部屋の大きさおよびその残響効果によって、その音色が変化する。
 この楽器は、もともと王候貴族あるいはブルジョアのために作り出されたもので、ある程度の広間あるいはサロン、しかも石造りで反響が良い環境に置かれて初めて音楽的にすばらしい効果を発揮する。
 しかし。時代が移ると共にやがて“家庭の守護神″ (蓄音器、ラジオなどが出現する以前)となって一般家庭に普及し、現在では、大多数のピアノは教育用の楽器という性格を持つようになった。つまり、ピアノを置く部屋が小さくなったのである。これが1930年代の欧米諸国特にアメリカでコンソール型、あるいはスピネット型が急激に普及し、フルサイズアップライトが忘れられてしまった理由である。
 フルサイズアップライトが、スピネットと比べて、音色および音量の点て優れていることはいうまでもない。弦が良く響板が大きいからである。そのため、一般に、背の高いピアノほど良いと信じられている。これは一面の真理である。
  しかし、スピネットには、次にあげるようなさまざまな利点もある。
 (1)出背が低いので他の家具とよく調和して形態的に美しい。
 (2)重量が小さい。
 (3)小さい部屋の場合、音色が愛らしくて音量が適当である。
 (4)転倒する危険性が少ない。
 (5)前が見通せる利点かおり、幼稚園などでは最適である。
 (注)たて型ピアノの重心は、鉄のフレームがついているため、後側にある。そのため、壁にっけて置く場合の他は、背面側に転倒する危険性があるので、移動する際に細心の注意を払うべきである。スピネットは重心が低いのでこの危険性が少ないが、スピネットでは、さきに触れた通り、アクションの設計に無理かおる場合かおる。しかし、この点については一般の人びとでは判別が困難であるから、ピアノの技術者に相談するのが賢明であろう。




改訂 楽器の事典ピアノ 平成2年1月30日発行 無断転載禁止


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