楽器の事典ピアノ 第4章 日本の代表的な2大ブランド コンサートグランドピアノ「EX」の誕生

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コンサートグランド「EX」の誕生


 最後に河合楽器製作所が世界にその真価を問うた、デノサートグランドピアノ「EX」をみてみよう。「EX」は、コンサートホールでの使用を目的としたピアノにおける最高器種といえるもので。すでに多くの世界的ピアニストの試弾・演奏・検証を経て、その表現力の豊かさ、鍵盤タッチのコントロール性などについて高い評価を受けている。この素晴しい名器
 「EX」の誕生については、次のようなエピソードがある。
 河合社長はある時、”原器工程″と社内で呼ばれている、設計図に最も忠実な方法で、最高の材質と、小人数で構成する最高の技術陣を使って、一台のピアノを作らせたのであるが、その音を聴いた社長は、このピアノはもしかすると、大変に素晴しい名器ではないかと直感した。そこで、ピアニストの深沢亮子さんをはじめ、何人かの名奏者に弾いてもらったところ、社長の直感が当たり、ピア二ストたちによって絶賛されたというのである。
 「EX」とは、文字通りエクセレンス(Excellence) の頭文字である。
 「EX」の構造上の特徴およびその表現能力についてみると、材質については、例えば、響棒・響板のひとつひとつに至るまで、技術煮が選んだ最高のものを用い、クラウンをはじめ細部にいたるまで設計図に忠実に仕上げてあり、アクションの部品も、フェルト、皮などが寸法・材質・弾性を原設計図に正確に合わせて作り上げていることがあげられる。「EX」の音が、厚み・深み・明るさともに比類のないのはこのためである。
 楽器というものは、優れた性能の楽器と、豊かな音楽性を持つ演奏家が弾いた時に初めて芸術性の高い音楽を生み出す。このカワイ「EX」は、誕生問もない楽器であるが、河合楽器製作所が、日本で最高のコンサートピアノであるという自信を持って作り出したものである。おそらく、ヤマハのCFとともにヽこれからの日本のコンサート用のピアノの質的向上に限りなく貢献することであろう。

改訂 楽器の事典ピアノ 平成2年1月30日発行 無断転載禁止


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