楽器の事典ピアノ 第4章 日本の代表的な2大ブランド CFの技術が生きるヤマハのピアノ

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CFの技術が生きるヤマハのピアノ

グランドピアノ

 ヤマハのグランドピアノは、フルコンサートグランドピアノCFを頂点としてC7、C5、C3のCタイプ3機種、G5E、G3E、G2EのGタイプ3機種、そしてS1400Bの計8機種のラインアップを持つ。
 CFは、ヤマハのピアノ製作の技術と研究の集大成ともいえるものであり、製作ラインも特別に設けられている。T九六七年に国産初のフルコンサートグランドとして誕生して以来、世界の名ピアニスト達に高く評価され、現在内外の檜舞台で活躍するに到っている。このCF製作では常に実験と試作が続けられ、そこで蓄積されたノウハウが、ヤマハの全ピアノづくりに反映されているのである。
 C7、C5、C3の、Cタイプと呼ばれるグランドピアノは、響板の設計、フレーム、支柱の作り、ベース弦の巻線方式、ハンマーなど音にとって重要な部分に改良が加えられ、専門家の要求に十二分に応えるグランドピアノとして一九七九年に発表された。C7、C5ではコンサートグランドと同じくソステヌート・ペダルを採用した三本ペダルになっている点も特徴のひとつである。
 G5E、G3E、G2EのGタイプのグランドピアノは、確かな基本設計に裏付けられたバランスの良さで、専門家、音大生、音高生などの練習用として、安定した幅広い人気を持っている。

小型グランドピアノ「SI400B」の誕生

 ここ数年、日本をはじめ、各国の若いピアニストの活躍は目覚しいものがある。それとともに、演奏手段としてのピアソに対する彼らの選択眼も従来に増して厳しくなり、より高度な演奏技術に応じてくれるピアノ、とりわけ演奏家が個人的に使用する、コンサートタイプの高品質の小型グランドピアノへの要求がとみに強まってきた。
 ヤマハは、このような需要に応えるため、「S-400B」を作るための試作モデルを開発し、国内の専門家からの積極的なアドバイスを受ける一方、海外にヤマハ技術陣と一流演奏家との交流の場としてのスタジオを設置して、彼らの要望を製品開発に反映してきたものである。
 こうした経過は、CFの開発についてと同様、基本的には伝統感応技術の要素を最重視した製造工程にみられるわけであるが、「S-400B」における設計・機能面の特徴をみると、とくに木工工程における仕様上の剛性アップが図られている点があげられる。なかでも、曲線側は、小型グランドピアノとしては厚く、曲線支柱とともに剛性をあげて、響板の支持条件が改善され、またハンマーは、「S-400B」用に新しく設計されたもので、とくに高音においてブリリアントな甘さを感じさせる音色となっている。さらにアクションは、嵌合の改良と特別なフレンジクロスの製造工程からつくられ、低音における力強い迫力と確かな音程感、中音における豊かな響きなど、音色表現の幅を一層向上させている。
 ヤマハが、世界のピアノメーカーのなかでその頂点に立つことができたのは、高品質天然素材の確保に借しまぬ努力を払う一方、ピアノづくりの出発点である素材研究の段階から、ひとつひとつの木質やクロスの一枚一枚にいたるまで、素材特性を極限まで引き出すための分析や実験を重ねてきた結果であるが、こうして生れた「S-400B」は、すでに試弾した一流演奏家の声を聞いても″ファンタスティック″音色に一貫性がある″″リミットがなく、曲想を無限に表現できる″″指の動きによく連動して
微妙なコントロールに敏感に反応する″などと高い評価を受けている。
 コンサート用のピアノの性能を家庭や学校のレッスン場に持ち込むことに成功した、このヤマハの「S-400B」は、その、すぐれた品質の高さによって、専門家ばかりでなく、音大生等の幅広い音楽表現のための高度な演奏上の要求に完璧に応え得るものといえよう。


アップライトピアノ
 ヤマハ・アップライトピアノは黒塗り6機種、生地仕上げ7機種、生地仕上げコンソール型2機種、計15機種の体系を整えている。
 黒塗りは最高機種のYUAを頂点にYUX、YUS、U3M、U2M、UIMが揃っており、YUA、YUX、YUSでは支柱(交叉状X支柱)駒、ベース巻線、ハンマーなどに数々の最新設計と製作技術が生かされ、高度な演奏技術に応えるすぐれた表現力をそなえている。また、U3M、U2M、UIMは音色の豊かさ、全体のバランスの良さに定評があり、品質の安定したピアノである。初心者から専門的に練習する対象にまで、幅広く愛用されている。
 生地仕上げはW-201、W-202、W-101B、102B、103B、104B、106Bと7機種。いずれも天然の木目を生かした美しいデザインとともにヽ音質の良さで高い評価を受けている。とくにW-201、202は、黒塗りの最高機種YUAと同一の機能をそなえ、演奏性表現力、そして豪華なインテリア性と、すべての面で最高級をめざしたピアノである。生地仕上げの素材はアメリカンウォルナット(W-201、202ヽ102B)ヽローズウッド(W-101B)、チーク(W-103B)、ミンデイ (W-104B)、マホガユー(W-106B)で、世界でも最高水準といわれるヤマ(の塗装技術を生かした仕上りは美しく、しかも耐久性が高い。
 欧米で人気の高いコンソール型のピアノとして、ヤマハではL-101はアメリカンウォルナット、L-102はバーチの天然木化粧板を使用した生地仕上げで、見た目にも非常に愛らしく美しい。さらに、設計の良さから、このタイプとしては非常に音ののびが良いということも大きな特徴である。



改訂 楽器の事典ピアノ 平成2年1月30日発行 無断転載禁止


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