楽器の事典ピアノ 第4章 日本の代表的な2大ブランド カワイ・コンサートグランドGS-100

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カワイ・コンサートグランドGS-100

  わが国の演奏会用ピアノの双璧として、カワイーコンサートグランドGS1100がある。このカワイの最高品質の楽器は、あとで述べるGSリーズのグランドピアノと共に、カワイの技術陣が、"世界一のピアノ”を目指して、響板、フレーム、弦およびアクションなどを心血を注いで改良して生み出したもので、その性能は数多くの演奏者たちから絶賛されている。 

その音色と芸術性
 ピアノの音色は、時代の変遷と演奏技術の進歩によって、その好みが、朗々として響き渡る。ドイツ的″なものから、ブリリアントな″アメリカ的”なものへと変化してきた事実は否めない。
 カワイのグランドピアノも、最近、外観こそ変わったように思えないがその音色は現代的な華麗なものへと大きく変ぼうしている。ヨーロッパ諸国への輸出が激増し、国産グランドピアノの全輸出量の半数以上を占めていること、あるいは、園田高弘氏がコンサートグランドGs1100を使って『ドビュッシーノ前奏曲第一巻』(アダムレコードAAcir066)を録音し、批評家たちからその芸術性がたたえられていることなどは、そのズバ抜けた性能を如実に示すものであろう。
 スタインウェイの名器は、十九世紀にスタインウェイ親子のクラフトマンシップと、当時のヘルムホルツによる優れた音響理論によって生み出されたと記録されているが、カワイのGs1100は二、三十年の経験を積んだ優秀な技術者を集めて、他のピアノの製造とは別工程で手作り的に製造されている。
 つまり、この楽器は伝統的な手工業技術と、最新の電子音響設計設備、コンピューター付きの音色分析器、無反響室などの科学技術との結合によって作られるコンサートグランドで、最終的には三千回も鍵盤をたたいて調律、整音を繰り返して完成されるのである。
 さきに述べた園田高弘氏のレコードの録音をした相沢昭八郎氏が、「スタインウェイやヤマハCFとは違った独特のデリカシーを持つ。いわば”クリスタルトーン”とでもいうべき高音質を持ったもの」と、その傑出した性能を高く評価している。
 ピアノ音楽の芸術性は、奏者の演奏技術、楽器の性能および調律師の腕前が一体となって生み出されるものである。ピアノのコンサートの後で、すばらしい演奏であったとか、音色がデリケートで表現力が優れていたとか、演奏者に対する批評は多いが、楽器の音色や調律、整音などに関する言及は全くない。これは不思議なことである。
 ピアノは、作音楽器でないために、演奏者がどのように優れた表現技術を持っていても、楽器の音色と、その調律並びに整音が劣っていては、美しい音楽は生み出せない。この点において、カワイ音楽振興会が一九七一年から開始した、日本全国にわたるカワイコンサートは賢明な策であった。現在まで約十年間にわたり、わが国のほとんどの有名ピアニストがKGー8Cを演奏し、それらの人々のさまざまな要望が現在の楽器に見事に再現されているのである。

カワイ サロンコンサートグランド RX-A
カワイ サロンコンサートグランド RX‐A.jpg




新工場の完成
 河合楽器製作所は、一九八〇年十月からグランド専門の新工場「竜洋工場」でグランドピアノの製造を開始した。そのすばらしい環境の工場の庭園に、「世界一のピアノを目指して、ここに竜洋工場を建設す。昭和五十五年十月 河合滋」と記された碑が建てられているが、現実には、わが国のピアノはヨーロッパの伝統的な名器を品質的に追い抜いているのではなかろうか。

カワイ滝洋工場
カワイ滝洋工場.png

カワイ、グランドピアノ製作工場
カワイ、グランドピアノの制作工場.png

滝洋工場に作られた碑
滝洋工場に作られた碑.jpg

清水港におけるカワイグランドピアノの輸出作業
清水港におけるカワイピアノの輸出作業.jpg

 


改訂 楽器の事典ピアノ 平成2年1月30日発行 無断転載禁止


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