楽器の事典ピアノ 序章 ピアノ発祥までの源流について 2 その源流と考えられる諸楽器

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その源流と考えられる諸楽器

 ピアノは、チェンバロの美しい音色とクラビコードの優れた表現力とを併せ備えた楽器として、クリストフォリによって発明されたと伝えられている。しかし、実際には、彼自身が、その天才的な才能と技術で、一挙に新しい楽器を創り出したということではなく、チェンバロを少し改良してピアノに似た楽器を作り出したに過ぎない。
 この楽器は、ザックスの「楽器の歴史」と題する比較楽器学の専門書によれば、「打奏鍵盤楽器」という奇妙な名称がつけられているが、もともと弦楽器でもあり打楽器でもあり、さらに有鍵楽器でもあるという、「楽器の王」としてふさわしい肩書きの多いものである。つまり、パイプオルガンやハープのように、古い祖先をもち、何千年という歴史的な伝統に貫かれた楽器ではなく、いわば、十八世紀より以前に生まれていた、各種の楽器の長所を受け継いだ混血児なのである。
 ピアノの祖先と考えられる諸楽器については定説がない。ピタゴラスのモノコードから始まってチェンバロに至るまでーー各章の扉のページで解説しているようにーーその数が誠に多く、諸説紛々としてその源流を探求することが極めて難しいのである。
 しかしながら、ピアノの誕生について、その当時、これをうながした音楽的な背景と動機があったことは事実である。

モノコード.png
モノコード ピタゴラスが考え出したと伝えられているもので一本弦で両端に2個の駒があり、その中間の別の2組の駒を動かしてさまざまな音程が作り出せる弦楽器。中世では音楽を教えるために使われたといわれている。


クラビコード.png
クラビコード ドイツのヨハン・ワイスが1702年に作ったもの。音域はC-C3。クラビコードはpとfの表現は自由であったが、音量が極めて小さいという短所があった。



改訂 楽器の事典ピアノ 平成2年1月30日発行 無断転載禁止


▶︎▶︎▶︎序章 3 誕生に関する音楽的な背景
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