鹿鳴館[全4幕]池辺晋一郎作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

日本オペラ

S. Ikebe,Rokumeikan 2010
鹿鳴館[全4幕]池辺晋一郎作曲


登場人物❖

影山悠敏伯爵(B−Br) 影山伯爵夫人朝子(S) 大徳寺侯爵夫人季子(Ms) 大徳寺侯爵令嬢顕子(S) 清原永之輔(Br) 清原久雄(T) 女中頭草乃(Ms) 他


概説

 新国立歌劇場の委嘱による作品。作曲の池辺晋一郎と芸術監督だった若杉弘の意向により、三島由紀夫の戯曲のオペラ化が意図された。原作は鹿鳴館を舞台にした政治の裏面を描いており、音楽は四人の人物の愛憎劇を暗い雰囲気の中に描いている。音楽付きの台詞劇ともいえる作品である。

 

 明治十九年の天長節の午前十時。外務卿影山悠敏伯爵邸内の茶室潺湲亭(せんかんてい)で、伯爵夫人朝子は、大徳寺侯爵夫人季子から彼女の娘顕子が自由民権活動家清原の息子久雄と愛し合う仲であること、また今夜鹿鳴館の舞踏会で影山暗殺が企てられていることを知らされる。朝子は久雄に会うが、暗殺の標的が影山ではなく父清原永之輔であると聞いて驚愕する。実は久雄は朝子が芸者時代の清原との間の子供である。朝子はその事実を明かし、久雄に実父の暗殺計画を止めさせる。さらに朝子は、忠実な女中頭草乃に言い含めて二十年ぶりに清原に会い、舞踏会への乱入計画の中止を約束させる。

 ところが朝子は帰宅した影山と腹心の刺客飛田との密談を立ち聞きして、久雄に清原を殺させる計画の張本人が影山であることを知る。朝子は影山の陰謀を打ち砕くため、これまでは出なかった舞踏会に主宰者として出るので、自分に久雄の身柄を預けるよう頼む。影山はその申し出を承諾する。朝子が立ち去ると、影山はいきなり草乃を抱き締める。

 場面は鹿鳴館になり、舞踏会の準備会場に影山と草乃が現れる。草乃は朝子を裏切った自責の念にかられながらも、朝子と清原の秘密を明かしてしまう。影山は朝子の裏をかこうと、飛田に別の壮士を乱入させるよう指示を与え、草乃に清原をおびき出させる。そして父親の清原に反発する久雄にピストルを握らせる。

 着飾った内外の紳士淑女が登場して舞踏会が始まる。そこに偽の壮士たちが乱入する。影山の策謀に乗せられたと怒った久雄は出て行く。銃声が聞こえ、ほどなく清原が現れる。朝子は清原の罪を糾弾すると、清原は事件の真相を語る。それによれば、乱入事件を仕組んだのは影山であり、久雄は清原に殺されたと真相を明かす。清原は「久雄は私に殺されたかったんだ、それがあいつの復讐だったんだ」と言って朝子に別れを告げる。再び遠くから銃声が聞こえる。清原が自害したのだった。影山は、打ち上げ損ねたお祝いの花火だと言い捨てる。

Reference Materials



初演
2010
年6月24日 新国立劇場(東京)

原作
三島由紀夫の同名戯曲

台本
鵜山仁/日本語

演奏時間
第1・2幕90分、第3・4幕70分(新国立劇場初演時)

 

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



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