忠臣蔵[全3幕]三枝成彰作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

日本オペラ

S. Saegusa, Chushingura 1997

忠臣蔵[全3幕]三枝成彰作曲


登場人物❖

大石内蔵助(Br) 綾衣(S) 橋本平左衛門(T) お艶(S) 岡野金右衛門(T) 大石主税(Ms) 神埼与五郎(Br) 堀部安兵衛(Br) 吉良上野介(T) 他


概説

 三枝成彰は、作曲からプロデュースまで、またアニメ音楽を手がけるなど幅広い活躍をしている。この作品は彼にとって初の本格的なオペラである。台本は歌舞伎や漫談、浪曲などでよく知られている「仮名手本忠臣蔵」が題材となっている。

 

 前年の元禄十六年二月四日、吉良邸への討ち入りを遂げた義士大石主税、岡野金右衛門、堀部安兵衛の三人が、切腹を前に心境を歌う回想のシーンで始まる。続いて物語は、元禄十四年三月十九日に舞台を移す。赤穂城の大広間に集まった家臣たちと大石内蔵助は、吉良上野介に対する憎しみを強める。そこに江戸から使者が到着し、「殿は即日切腹し、城を明け渡せ。吉良にはお咎めなし」と伝えるので、一同の怒りは高まる一方である。

 時は元禄十五年の春、京都の遊郭では内蔵助が芸者衆と戯れているのを橋本平左衛門が非難する。しかし逆に彼は時を待てと、橋本に適度の女遊びを勧める。その年の晩夏、花火でにぎわう江戸の両国橋近くで岡野が吉良邸を建てた大工の娘お艶と愛を高らかに謳歌する。吉原の遊郭では、橋本が綾衣に対してお前を囲うには金が必要だと言う。

 秋になり、岡野は江戸下町の仮住まいの長屋でお艶を色仕掛けで落として屋敷の絵図面を手に入れる。岡野が神埼与五郎と立ち話をしていると、岡野に愛を寄せるお艶が出て来るので彼の心は乱れる。

 いよいよ吉良邸討ち入り決行の元禄十五年十二月十四日、一面が雪の両国橋。岡野が出かけようすると、お艶は結婚を迫る。二人の会話はちぐはぐのままである。同じ頃吉原の遊郭では、橋本が刀を売ったお金を持って綾衣と別れ話をするが、綾衣はお金よりも心中する方がよいと言う。動揺した橋本は、ついに脇差で綾衣の胸を突く。

 その日の夜半、雪が降る両国橋に火消し姿の赤穂の義士四十七人が集結して吉良邸に向かう。橋本は苦悩から内蔵助あての遺書をしたためて自害する。吉良邸の雨戸が叩き壊されて激しい争いとなり、上野介は斬首される。義士たちは吉良屋敷から引き揚げて、早朝に両国橋で一服する。一同は岡野にお艶との別れを告げに行かせる。事の次第を知ったお艶は、自分がだしに使われたと岡野を責め、子供を身ごもったことを伝える。お艶の嘆きの中、亡き赤穂城主が眠る泉岳寺に向かう義士たちの行列を町人たちは眺める。

Reference Materials



初演
1997
年5月14日 東京文化会館

台本
島田雅彦/日本語

演奏時間
第1幕45分、第2幕72分、第3幕64分(下記CDによる)

参考CD
● 直野資、佐藤しのぶ、小林一男、釜洞祐子、錦織健、秋葉京子、坂本朱/大友直人指揮/東京響、二期会唱(SONY


ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



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