山椒太夫[全1幕]小山清茂作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

日本オペラ

K. Koyama, Sanshodayu 1974~1990

山椒太夫[1幕]小山清茂作曲


登場人物❖

安寿(S) 厨子王(S) 語り女(Ms) 判官の妻(Ms) 判官正氏(Br) 山椒太夫(B)他

 

概説

 日本オペラ協会の委嘱によって作曲された小山清茂の初の本格的なオペラで、日本音楽の語法を作曲の原点にする異色の作曲家としての本領が発揮されている。森鷗外の「山椒太夫」として小説化された中世の安寿と厨子王の物語である。

 小山清茂は、この作品の他にも森鷗外の小説によるオペラを作曲している。

 

 丹後の山椒太夫の屋敷。語り女が現れて物語の前史について語る。それによると、奥州岩城(磐城)の判官正氏が罪もなく筑紫へ流罪にされた。判官の妻は子供の安寿と厨子王を連れて夫の配所に向かう。途中、越後まで来てさまよっていると、一夜の宿を貸すと騙されて人買船に乗せられ、母は東へ、子供は西へと売り分けられる。安寿と厨子王姉弟の売られた先は丹後の山椒太夫で、屋敷で下人としてこき使われている。一方、盲目となった母親は、蝦夷ガ島(佐渡)で我が子を思いながら鳥を追っている。

 山椒太夫と息子の三郎は、安寿と厨子王を働きが悪いと叱って鞭打つ。見かねた下人仲間が手伝ってやると、ますます山椒太夫親子の怒りを買う。二人は耐えかね、安寿は死ぬ覚悟を決めて幼い厨子王を逃がす。それに気づいた三郎は、兄二郎の制止を聞かずに安寿を責め殺す。

 厨子王は傷を負いながら峠を越えて、中山国分寺で一人の僧に助けられる。追って来た二郎と三郎を、母の地蔵菩薩の守り札の金色の光が目をくらませて厨子王は助かり、素性を明かして京の都に送り届けてもらう。

 天王寺の本堂に並びそろった稚児たちが舞っている間に入浴して凛々しい姿に変身した厨子王は、摂政大臣梅津院の養子に迎えられる。身分を明かした厨子王は、父正氏の旧領と流刑先の筑紫国と丹後国を与えられる。

 再び語り女が現れて、厨子王はさっそく筑紫に流されている父に迎えを差し向け、自らは母のいる蝦夷ガ島に赴くと語る。その間に舞台は春の蝦夷ガ島に変わり、厨子王と再会した母は厨子王が持っていた地蔵菩薩の守り札で目が開く。

 桜の花が咲く頃、丹後国の山椒太夫の屋敷では新しい国司を迎える準備に忙しい。そこに国司として現れたのは、かつて下人としていじめた厨子王の成人した姿であった。厨子王は虐殺された姉安寿の消息を聞かれて返答できない山椒太夫を縛りつけ、二郎は放免されるが、三郎は竹鋸で首を斬られる。


Reference Materials



初演
1995
年3月1日 新宿文化センター(東京)

原作
説教浄瑠璃/「山椒太夫」

台本
岡本一彦/日本語

演奏時間
130

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



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