俊寛[1幕]清水 脩作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

日本オペラ

O. Shimizu, Shunkan 1964

俊寛[1幕]清水脩作曲


登場人物❖

法勝寺執行俊寛(Br) 丹波少将成経(T) 平判官入道康頼(Br) 丹左衛門基康(T)

 

概説

 人形浄瑠璃ないしは歌舞伎の「平家女護島」の中の「鬼界ケ島」の物語が題材になっていて、四人の男声歌手だけが出演するユニークなオペラである。島流しにあった人々の陰惨な物語であり、心理的な要素が大きい。もともとテレビ用のオペラとして書かれたので一時間の枠内のコンパクトな作品である。

 台本ははじめ清水脩一人で書く予定であったが、途中から岡本一彦が加わった。

 

 

 平家が栄華を誇った一一七七年、それを敵視する後白河天皇の寵臣や上皇御所守護の侍たちが、東山鹿ヶ谷の山荘に集まって平家討伐の密謀を図った。それが露見して、謀反者たちは全員捕らえられて島流しに遭った。これが「鹿ヶ谷の陰謀」である。謀反者のうち、討ち首になった入道西光以外の九人は、遠流の刑に処された。「俊寛」の物語は、そのうち薩摩国の遙(はる)か南の鬼界ヶ島に流された三人の特赦を伝える使いが翌年に島を訪れた日のできごとである。

 荒涼とした島では、温厚で信心深い平判官入道康頼と丹波少将成経が島に熊野権現を祀って日々祈りを捧げ、一日も早く赦されて都へ帰れることを祈っている。一方、法勝寺執行の僧侶であるにも関わらず俊寛は信仰心に薄く、他の二人を嘲笑(あざわら)って酒代わりの水で杯を交わすよう勧める。

 皆が都の女官たち数人が小船で島にやって来る夢を見たと語り合っていると、待ちに待った都の赦免使である丹左衛門基康が船で到着して、三人の前で赦免状が読み上げられる。康頼と成経は赦免されるが、俊寛の名前はない。俊寛は基康の手から赦免状を奪い取って、血眼になって自分の名前を探すが見当たらない。

 俊寛は必死になって、自分も都に連れて行ってほしいと基康に訴えるが、その願いは聞き入れられない。そして基康は、都に残されていた俊寛の妻あずまやが、清盛の意に従わなかったために討ち首になったことを告げる。

 康頼と成経を乗せた船は島を離れて姿を消す。波打ち際に打ち臥した俊寛は、絶望の叫びをあげる。


Reference Materials



初演
19641118日(NHKラジオ)

舞台初演
1965
年3月9日  東京文化会館

台本
清水脩、岡本一彦/日本語

演奏時間
60


ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



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