香妃[序景と全4幕]山田耕筰作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

日本オペラ

K. Yamada, Hsiang-Fei 1960

香妃[序景と全4幕]山田耕筰作曲


登場人物❖

乾隆帝(T) 香妃(S) 高成齢(B) アミヨォ(T) 香妃の侍女(Ms) 考聖憲太后(A) 朗世寧(Br) 楊(T)他

 

概説

 山田耕筰最後のオペラで、楽劇と銘打たれている。1947年夏ピアノ・スコアが完成したが、オーケストレーションの途中に山田が病で倒れたために、團伊玖磨が引き継いで完成させて初演にこぎつけた。物語は中国に伝わる「香妃」伝説によっている。

 

 

 中国清朝第六代帝王乾隆帝の時代。北京紫禁城の豪華な一室では、乾隆帝の隆盛な御代を民衆が祝っている。その一方で、帝はフランス人のジェスイット教の神父アミヨォとイタリア人画家カスティリオーネ(朗世寧)を相手に暇をつぶす生活に飽き飽きしている。

 帝の倦怠感は昂まる一方だが、宦官の楊がトルコ生まれの不思議な妙香を持つ香妃の話をするので、帝は香妃を捕らえて北京に連れて来るよう前線の司令官に指令する。

 長春園では、帝が香妃を迎えるためにイタリア・バロック風の離宮の建設を急がせている。そのような倦怠に満ちた帝の生活を考聖憲太后がいさめる。そこに楊が香妃の到着を告げる。帝は香妃が待つ宝月楼に浮き浮きとやって来て、若くて美しい香妃に見とれるが、彼女は夫アムルサナの敵である帝に対して憎しみの言葉をぶつける。

 そこで帝は、香妃の歓心を買おうと宝月楼の中にトルコ風の一区画を作る。楊は香妃が夫の復讐心に燃えているので注意するよう帝に告げるが、帝は彼女がトルコ風呂に向かうのを垣間見て、香妃をものにするためにその後を追う。

 風呂の入り口で帝は香妃の侍女と言い争いになるが、その胸元から匕首が落ちる。太后の姿が見えるので、帝はいったんその場を去るが、戻って来ると匕首を香妃に渡して、目の前にいる自分を殺せと言うので、香妃は初めて帝の真情を知って泣き崩れる。

 太后は異国の美女にうつつを抜かす帝の身を案じている。太后は香妃の身体検査をするが、香妃は隠し持っていた短剣で自害する。駆けつけた帝に向かって、太后は香妃を殺したのは自分だと言い、私を殺せと言う。皇帝はあまりのことに号泣する。

Reference Materials



初演
1961
12月2日 東京文化会館

原作
長与善郎/「乾隆御賦」

台本
山田耕筰/日本語

演奏時間
不詳

 

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  




◀︎◀︎◀︎ 黒船 
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