ロメオとジュリエット[プロローグと全5幕]グノー作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

フランスオペラ

C. F. Gounod Roméo et Juliette 1865~67

ロメオとジュリエット[プロローグと全5幕]

登場人物❖

ロメオ(T) ジュリエット(S) ステファノ(S) ティバルト(T) メルキューシオ(Br) パリス伯爵(Br) ローランス神父(B) キャピュレット(B) ヴェローナ公(B)他

概説

 言うまでもなくシェイクスピアの名作をもとにした作品で、甘く流麗な音楽はいかにもグノーらしい。「ワルツ」をはじめとして親しみやすい旋律が全編に流れている。「ファウスト」に続く傑作であるが、グノー没後百年の一九九三年頃からようやく上演される機会が多くなった。

プロローグ

 

 独唱者全員と合唱によって、この物語が敵対するヴェローナのモンタギュー家とキャピュレット家の間に起こった恋の物語であることが歌われる。

 

 

第一幕

 

 十四世紀イタリア・ヴェローナにあるキャピュレット家の回廊。キャピュレット家の令嬢ジュリエットの社交界デビューの宴会が開かれるので、華やかに着飾った紳士淑女たちが集まって来る。当主のキャピュレットが現れ、娘のジュリエットを皆に紹介する。彼女は大人になった喜びを歌い、人々は彼女の美しさを賞賛して思い思いに別室に移って行く。

 そこには友人のメルキューシオを連れたロメオが仮面を着けて紛れ込んでいる。メルキューシオは「マブの女王のバラード」を歌ってロメオを揶揄して彼を連れ去る。そこに乳母に伴われたジュリエットが現れ、パリス伯爵と結婚するよりもまだ青春を謳歌したいとワルツを歌う(「私は夢に生きたい」)。乳母が去って一人になったジュリエットの前に突然ロメオが現れる。二人はひと目ぼれで恋に落ち、二重唱となる(「あこがれの天使」)。そこに彼女の従兄弟のティバルトが姿を見せ、ロメオが敵方の者であることを見抜いて決闘になろうとするが、ジュリエットの父キャピュレットに諌(いさ)められる。

 

第二幕

 

 ジュリエットの家の庭園。夜になって庭に忍び込んだロメオは「恋よ!恋よ!」とジュリエットに想いのたけを訴える。すると窓が開いて彼女がバルコニーに姿を見せ、ロメオに対して愛を打ち明ける。二人は互いに熱い恋を確かめ合うが、やがて夜警や乳母の声に邪魔されて、ロメオは名残惜しそうに立ち去る。

 

第三幕

 

 第一場 ローランス神父の庵。ロメオが神父を訪れてジュリエットを愛してしまった苦しい心のうちを告白する。そこに乳母を伴ったジュリエットも現れ、二人の恋が成就するように訴える。神父は二人を結びつけることによって長年にわたる両家の憎しみ合いに和解がもたらされることを願い、祝福を与える。

 第二場 キャピュレット家の近くの路上。ロメオを探しに来た小姓ステファノは、通りかかったキャピュレット家の前で同家を揶揄する。それを聞きつけて出て来た家郎が剣を抜いて双方激しい決闘が始まり、ティバルトも加わる。ロメオが現れて仲裁に入ろうとするが、ティバルトの剣がロメオの親友メルキューシオを刺し殺す。親友を殺されて激怒したロメオは、ティバルトに決闘を申し込んで復讐の剣を彼に突き刺す。そこにヴェローナ公が姿を現わし、ロメオを町から追放することを命じ、両家の争いを厳しく諌める。

 

第四幕

 

 第一場 ジュリエットの部屋。ジュリエットはロメオがティバルトを殺したことを赦す。二人は何度も接吻と抱擁を重ねて別れを惜しむ。しかし町からの追放を申し渡されたロメオは明日旅立たねばならない。ロメオが立ち去った後、ローランス神父を伴った父キャピュレットが入って来て、ジュリエットにパリス伯爵と結婚するように命じる。

 ジュリエットの苦悩を知った神父は、彼女に一日だけ仮死状態になる薬を与えて、目が覚める頃にロメオをジュリエットが葬られている墓に行かせるから、二人で一緒に逃げるようにという策を授ける。ジュリエットは薬を飲むと死んでしまうのではないかと恐れ、不安になる(「神様、何という戦慄が」。このアリアは省略されることが多い)。

 第二場 キャピュレット家の広間。奥には礼拝堂が見られる広間に婚礼の行列が現れ、パリス伯爵との結婚式が行われる。伯爵がジュリエットの指に結婚指輪をはめようとした時、ローランス神父からもらって服用した薬の効き目が現れて彼女は倒れる。人々は彼女が死んでしまったものと思い悲嘆にくれる。

 

第五幕

 

 地下の埋葬所。ジュリエットの死を聞きつけたロメオが彼女の墓に駆けつける。彼はローランス神父からの知らせが遅れたためにジュリエットが仮死状態であることを知らない。ロメオはジュリエットの体を抱擁して彼女の死を悼む(「おお、妻よ」)。そして絶望のあまり、自ら用意していた毒をあおぐ。その時眠りから覚めたジュリエットは、ロメオが傍らにいることを喜んで彼の胸に飛び込み、喜びの二重唱を歌う。

 しかし時すでに遅く、ロメオは飲んだ薬が全身にまわって息たえだえになる。真相を悟ったジュリエットはロメオの短剣を取って自分の胸を刺す。二人は最後の口づけを交わして、神に赦しを請いつつ息絶える。

 

Reference Materials



初演
1867
年4月27日 リリック劇場(パリ)

原作
ウィリアム・シェイクスピア/「ロメオとジュリエット」

台本
ジュール・バルビエ、ミシェル・カレ/フランス語

演奏時間
プロローグ7分、第1幕32分、第2幕28分、第3幕25分、第4幕33分、第5幕22分(プラッソン盤CDによる)

参考CD
● マルフィターノ、クラウス、ブルル、キリコ/プラッソン指揮/トゥールーズ・カピトール管・唱(EMI

● フレーニ、コレッリ、カルドナ/ロンバール指揮/パリ・オペラ座管・唱(EMI

参考DVD
● ヴァドゥヴァ、アラーニャ、ロワ、ロイド/マッケラス指揮/コヴェント・ガーデン王立歌劇場管・唱(Gen


ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



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