ユグノー教徒[全5幕]マイアベーア作曲

HOME > メディア > 詳解オペラ名作217 > ユグノー教徒[全5幕]マイアベーア作曲
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

オペラ名作217 もくじはこちら
詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

フランスオペラ

G. Meyerbeer, Les Huguenots  1832~1836

ユグノー教徒[全5幕]マイアベーア作曲


登場人物❖

マルグリット王妃(S) ウルバン(Ms) ヴァランティーヌ(S) ラウール・ド・ナンジ(T) マルセル(B) サン・ブリス伯爵(Br) ヌヴェール伯爵(Br)他

概説

 フランスのグランド・オペラは、19世紀の前半から中頃にかけて人気を博した。その代表的な作曲家であるマイアベーアは、1831年に発表した「悪魔のロベール」でパリでの人気を博した。この「ユグノー教徒」は彼の最高傑作とされている。彼の作品が日本で上演されることは少ないが、その作品はヴェルディにも大きな影響を与えた。

 

第一幕

 

 フランスのトゥレーヌにあるヌヴェール伯爵の城館の広間。旧教派の青年貴族たちがヌヴェール伯爵の酒宴に招かれている。伯爵はここに新教徒(ユグノー教徒)の騎士ラウールも招いていると告げるので騒然となる。伯爵は和平のために新旧両派の仲立ちをしているのである。ラウールは伯爵に所望されて、かつて危難から救った名も知らない女性に対する恋を歌う(「白てんの毛皮より白く」)。そこにラウールの家来マルセルがやって来て、旧教徒と酒宴をともにするラウールに帰宅を迫り、嫌がらせのつもりでユグノーの兵士の歌を歌うが(「ピフ、パフ、坊主は廃めろ」)、一同はかえって面白がる。

 突然伯爵の美しい許婚ヴァランティーヌが城を訪れるので、伯爵は席を外す。彼女はマルグリット王妃から内戦を収めるために別の男性と結婚するように命じられ、伯爵に婚約解消を願いに来たのだった。隣の部屋からこの美しい婦人をこっそりと見たラウールは、彼女こそいつか助けた見知らぬ女性であることに気づき、二人の様子からヴァランティーヌは伯爵の愛人だと思い込んで絶望する。

 そこに「さる高貴で聡明なご婦人から」と言って、王妃の小姓ウルバンが王妃からラウールに宛てた手紙を届けに現れる。そこには今夜目隠しをして古い塔に来るようにしたためてあった。それが王妃の直筆の手紙であることを認めた伯爵は、ラウールに対する態度を改め、目隠しされて出て行くラウールを敬意を持って見送る。

第二幕

 

 ロワール川に架かる橋の上に立つシノンソーの城館。王妃が歌っているとヴァランティーヌが戻って来る(「美しきトゥレーヌの地よ」)。彼女は伯爵との婚約は解消したが、父は王妃が勧める新教徒のラウールとの結婚は許さないだろうと伝えるので、王妃はこの結婚の成就に口添えしようと言う。小姓が目隠しされたラウールを連れて来る。

 両派の争いに心を痛める王妃は、ヴァランティーヌの父親サン・ブリス伯爵を召し出して新教徒との結婚を認めるよう誓わせると、王妃はラウールにヴァランティーヌを引き合わせる。しかし彼女が伯爵の愛人だと曲解しているラウールは彼女を非難するので、その場は混乱に陥る。

 

第三幕

 

 パリ、セーヌ河畔のプレ・オ・クレ教会近くの広場。ヴァランティーヌと伯爵との結婚式が行われている教会の周りに、両派の兵士たちが群がっている。サン・ブリス伯爵のもとにラウールから果たし状が届くが、部下たちは自分たちが彼を闇討ちにするからその必要はないと言う。この話を耳にしたヴァランティーヌは、マルセルにラウールを一人で来させないようにと忠告の伝言を耳打ちするが、それに耳を貸さないでやって来たラウールはたちまち旧教徒たちに取り囲まれて絶体絶命になる。

 たまたま通りかかった王妃は両派の剣を収めさせ、真実を語るので一同の誤解は解けるが、そこに現れた伯爵はヴァランティーヌと結婚式を挙げたことを明かす。

第四幕

 

 ヌヴェール伯爵の城館の一室。城に戻ったヴァランティーヌは無意味な結婚を嘆いている(「涙の中にわが夢はふたたび生き」)。最後の別れを告げるためにやって来たラウールは、物陰からサン・ブリス伯爵がサン・ジェルマンの鐘の音を合図にユグノー教徒を虐殺する計画を語るのを耳にする。伯爵がその計画に加担することを拒否するので、ヴァランティーヌははじめて夫を尊敬して情熱的な二重唱になる。彼女が引き止めるのも聞かずに、ラウールはバルコニーから飛び出して行く。

第五幕

 

 第一場 オテル・ド・ネールの舞踏室。ラウールは新教徒の仲間たちに急を告げるために飛び込んで来る。

 第二場 ユグノーの修道院。傷を負ったマルセルとラウールは仲間が惨殺されたことに胸を痛めている。後を追って来たヴァランティーヌは、中立を守った伯爵が殺されたことを伝える。彼女はラウールに改宗を勧めるが、逆にヴァランティーヌがユグノー教に改宗してマルセルから洗礼を受ける。その時銃声が聞こえ、兵士たちが乱入して来るので三人は裏門から逃れる。

 第三場 パリの路上。パリまで逃げのびてきた三人は、サン・ブリス伯爵に出会う。誰だとの問いに、ユグノー教徒と答えるので三人は銃殺される。死体に近寄ったサン・ブリス伯爵は、娘を見つけて愕然とする。

Reference Materials



初演
1836
年2月29日 パリ・オペラ座

台本
ウージェーヌ・スクリーヴ、エミール・デシャン/フランス語

演奏時間
第1幕56分、第2幕45分、第3幕53 分、第4幕45分、第5幕29分(ディードリッシュ盤CDによる)

参考CD
● ラファネル、ポレ、ボルスト、リーチ、ギュゼレフ/ディードリッシュ指揮/モンペリエ・フィルハーモニー管、モンペリエ歌劇場唱(Er

● サザーランド、アーロヨ、トゥーランジョー、ギュゼレフ/ボニング指揮/ニュー・フィルハーモニア管、アンブロジアン・オペラ唱(D

参考DVD
● デニング、ピーコック、カパッソ、リーチ/ショルテス指揮/ベルリン・ドイツ・オペラ管・唱(Art

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



◀︎◀︎◀︎ 軍人たち            アフリカの女 ▶︎▶︎▶︎



  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 
KAWAI
YAMAHA WEBSITE