ジョコンダ[全4幕]ポンキエルリ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

A. Ponchielli, La Gioconda 1875~76
ジョコンダ[全4幕] ポンキエルリ作曲

 
❖登場人物❖

ジョコンダ(S) 盲目の母チエカ(A) バルナバ(Br) アルヴィーゼ(B)  ラウラ(Ms) エンツォ(サンタフォル公爵エンツォ・グリマルド)(T)他

❖概説❖

 ポンキエルリはヴェルディとほぼ同時期に活躍したために、すっかり影が薄くなってしまった。しかしこの「ジョコンダ」は、彼の最高傑作として初演時から大成功を収めた。ヴェルディもこのオペラに絶賛を惜しまなかったといわれる。現在上演される版は、1879年ジェノヴァで再演された時の改訂版である。


第一幕「ライオンの口」



 十七世紀ヴェネツィアの総督宮殿の中庭。水夫や町の人々が集まって祭りを祝い、ゴンドラ競漕を見ようと走り去る。一人残った密偵バルナバが見張っているところに、恋人エンツォに会う約束をしていた歌姫ジョコンダが盲目の母チエカの手を引いて現れる。ジョコンダに横恋慕しているバルナバは姿を現して彼女に言い寄るが、ジョコンダは彼を軽蔑して逃げてしまう。
 人々が戻って来ると、バルナバは腹いせに競漕に負けた水夫に向かって、お前が負けたのはあの魔女のせいだとジョコンダの母を指差す。群衆が騒ぎ出すので、水夫姿のエンツォが駆け寄って人々を制止しようとする。そこに司法長官アルヴィーゼと、仮面をつけたその妻ラウラが通りかかる。人々はアルヴィーゼにジョコンダの母を死刑にするよう要求するが、ジョコンダは母の無実を訴える。ラウラはエンツォと名乗る若者が、追放中のかつての彼女の恋人サンタフォル公爵エンツォ・グリマルドであると気づき、彼女の助言によってアルヴィーゼはジョコンダの母の無罪を宣言する。彼女はラウラに感謝して首のロザリオを捧げる(「貴婦人か天使の声」)。ジョコンダが貴婦人の名を尋ねると、ラウラと答えるので、エンツォは驚く。
 皆が立ち去ると、バルナバはエンツォに近づいて公爵であることを見破ったと告げ、自分のよこしまな恋を遂げるためにエンツォとラウラの逃亡を手助けしようと申し出る。バルナバは部下のイセポを呼び出すと、「今夜あなたの奥様が水夫のエンツォと逃亡する」とアルヴィーゼ宛の密告書を口述させ、ライオンの口に投函する。それを物陰で盗み聞きしたジョコンダは恋人の裏切りに怒り悲しみ、母は彼女を慰める。


第二幕「ロザリオ」


 ダルマチアの舟の上。水夫たちが歌い、偵察のために漁師に扮したバルナバも舟唄を歌う(「ああ漁師よ、餌を慎め」)。入れ替わりにエンツォが現れ、水夫たちに出帆の準備を命じると、一人残って心をときめかせる(「空と海」)。やがてバルナバの導きでラウラが舟に上がって来て、エンツォと愛の喜びを歌う(「ああ、恐れないで」)。 出航のためにエンツォが下に降りると、ラウラは一人マリアに祈る(「海行くものの星よ」)。そこに仮面をつけて忍び込んだジョコンダが姿を現し、ラウラと激しく言い争いになる。その時、アルヴィーゼの軍勢が近づく。 短剣を手に身構えるジョコンダに、切羽詰まったラウラがロザリオを掲げて祈る。そのロザリオを見て、彼女が母の恩人であると知ったジョコンダは、急いで彼女を小舟で逃がす。エンツォはラウラの裏切りに怒り、しかも敵勢アルヴィーゼの舟に取り囲まれたと知ると、もはやこれまでと舟に火を放って海に飛び込む。


第三幕「カ・ドーロ(黄金の館)」


 第一場 カ・ドーロの控えの間。アルヴィーゼは妻の裏切りに怒る(「そこは陽気な馬鹿騒ぎが」)。そして現れたラウラに毒薬を渡すと、死ぬように迫って立ち去る。忍び込んでいたジョコンダは、毒薬の代わりに仮死状態になる眠り薬を彼女に与えて飲ませる。間もなく部屋に入って来たアルヴィーゼは倒れているラウラを見て、死んだものと思ってすっかり満足して立ち去る。再び現れたジョコンダは、自分の愛を犠牲にして母の恩人を救ったのだと言う。
 第二場 
前場の部屋に続く大広間。大勢の賓客が集まり、豪華な舞踏会が開かれる。アルヴィーゼの挨拶に続いてバレエ「時の踊り」が踊られる。そこにバルナバに引き連れられたジョコンダの母が入って来ると、弔いの時の鐘が鳴り、ラウラの死が告げられる。すると紛れ込んでいたエンツォは、仮面をかなぐり捨てて、短剣を振りかざしてアルヴィーゼを襲う。騒然とする中、彼は衛兵に取り押さえられる。ジョコンダは、自分の体と引き換えにエンツォを逃がすことをバルナバと約束する。その間、エンツォを助けようとするジョコンダに気づかれないように、バルナバはジョコンダの母を連れ去る。


第四幕「オルファノ運河」


 ジュデッカ島の荒廃した邸宅の玄関。仮死状態のラウラが二人の男によって運び込まれると、ジョコンダは礼を言い、自分の母親も探し出してくれるように頼む。ジョコンダは毒薬のビンを持って死を望む(「自殺!」)。運河で死体があがったという水夫の声に身震いしているところにエンツォが現れ、言い争っているとラウラが目覚める。ラウラはジョコンダが救助してくれたいきさつを物語るので、二人はジョコンダに感謝する。遠くにセレナードが聞こえ、ジョコンダはエンツォとラウラを小舟で逃がす。
 一人残ったジョコンダがマリアに祈っていると、バルナバが現れて約束の履行を迫るので、彼女は自分の胸に剣を刺して息絶える。怒ったバルナバは、「彼女の母親を運河に放り込んで殺してやった」と叫ぶ。




Reference Materials


初演

1876年4月8日 ミラノ・スカラ座

原作
ヴィクトル・ユーゴー/「パドヴァの暴君アンジェロ」

台本
トビア・ゴーリオ(アリーゴ・ボーイト)/イタリア語

演奏時間 
第1幕48分、第2幕33分、第3幕38分、第4幕31分(ガヴァツェーニ盤CDによる)

参考CD
●チェルクェッティ、シミオナート、デル・モナコ、バスティアニーニ、シェピ/ガヴァッツェーニ指揮/フィレンツェ5月音楽祭管・唱(D)
●カラス、バルビエリ、ポッジ、ネーリ、シルヴェリ/ヴォットー指揮/RAIトリノ響・唱(WF)
●カラス、コッソット、フェッラーロ、カプッチッリ、ヴィンコ/ヴォットー指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(EMI)


ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  




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