二人のフォスカリ[全3幕]ヴェルディ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. F. Verdi, I Due Foscari 1844
二人のフォスカリ[全3幕]ヴェルディ作曲

 
登場人物

フランチェスコ・フォスカリ(Br) ヤコポ・フォスカリ(T)  ルクレツィア・コンタリーニ(S) ヤコポ・ロレダーノ(B)  バルバリーゴ(T) ピザーナ(S)他

概説

 ヴェルディ六作目となるこのオペラは、貴族同士の軋轢に翻弄されたフォスカリ父子の運命がテーマになった暗く重苦しい雰囲気に貫かれていて、彼のこの時期に多い愛国的な作品とは様相を異にしている。したがって初演も不評であったが、古典悲劇としての重みは高く評価されている。

第一幕

 第一場 ドゥカーレ宮の大広間。1457年のイタリア、ヴェネツィア共和国では十人委員会と評議会の構成員が招集されている。ヤコポ・フォスカリが引き立てられて来る。彼は殺人の嫌疑でクレタ島に流刑中に敵国に出国したことが露見して召還されたのだった。彼は久しぶりに故郷を見て、現在の哀れな境遇を呪う(「さいはての流刑地から」)。政敵ロレダーノとその友人のバルバリーゴは表向きには裁判は公正を期すと言いながら、十人委員会の会議メンバーたちはフォスカリ家に対する憎しみを口にして裁きの場に向かう。
 第二場 フォスカリ家の広間。ヤコポの妻ルクレツィアはヴェネツィア総督である義父フランチェスコ・フォスカリに、その息子である夫ヤコポに対する公正な裁きを訴え、無実が晴れるように神に祈る(「天よ、その全能の眼差しに」)。そこに侍女ピザーナがヤコポは終身流刑罪の判決を受けたと知らせるので、ルクレツィアは怒りに震える。
 第三場 ドゥカーレ宮の大広間。ヤコポは罪を否定するが、十人委員会と評議会の面々は、彼が政敵ミラノのスフォルツァ公へ手紙を送ったからには、総督の息子であっても再度のクレタ島への流刑は当然だと話し合う。
 第四場 総督の私室。フランチェスコはたとえ自分の息子であっても総督としてヤコポを裁かなければならなかった辛い心境を嘆く(「ああ、年老いた心よ」)。そこにルクレツィアが現れて、夫ヤコポを返してほしいと懸命に訴えるが、フランチェスコは総督としての立場でどうにもできずに、親子の心情を抑えて彼女の哀願を拒まざるを得ない。ルクレツィアはヤコポがスフォルツァ公に手紙を書いたのは、故国ヴェネツィアに帰りたい一心からのことで、決して故国に対する裏切りではないと言い、総督も一緒になって嘆願してほしいと訴える。


第二幕


 第一場 牢獄。ヤコポは暗い牢獄の中で以前に死刑になった男の亡霊を見て、自分も死の予感に怯えて気を失う(「夜よ、無窮の夜よ!私を呪わないでくれ」)。そこにルクレツィアが入って来て、流刑の地で彼と運命を一緒にすると告げる。さらに総督も現れ、親として子を思う心に変わりはないと胸の内を告白する。そこにロレダーノがヤコポをクレタ島に運ぶ船の用意ができたと告げに来て、フォスカリ家への長年の恨みを晴らす時が来たとつぶやきながらヤコポを連行する。
 第二場 十人委員会の会議室。委員たちが着席し、判決書がヤコポに手渡される。彼は再度無実を訴えて父に恩赦を求めるが、総督はそれを拒む。そこに二人の子供を伴ったルクレツィアが現れ、自分も一緒にクレタ島に行きたいと願うが、十人委員会は規則によってそれを許さない。唯一同情する議員バルバリーゴの言葉に耳を貸さずに、ロレダーノは二人を引き離す。


第三幕 


 第一場 サン・マルコの小広場。ゴンドラ競漕を見に来ていた人たちは、陽気にバルカローレを歌い踊っているが、宮殿からラッパの音が響き、ヤコポが護衛されて来るので恐れおののく。ヤコポはルクレツィアに永遠の別れを告げ、せきたてられるように護送船に乗り込む。別れを嘆く人々の中で、ただ一人ロレダーノは待ち望んだ復讐の時の到来を喜び、ルクレツィアはピザーナの腕の中で気を失う。
 第二場 総督の私室。フランチェスコが息子を失って嘆いているところに、殺人の真犯人が判明してヤコポの無実が明らかになったという報せがバルバリーゴによって伝えられる。総督は一瞬喜びを取り戻すが、そこに悲しげなルクレツィアが入って来て、出発間もなくして護送船の中でヤコポが死んだことを伝える。彼女は夫を陥れた者への復讐を誓う(「もはや夫は生きていない」)。十人委員会のメンバーが来訪して、老齢と息子を失ったショックを理由に、フランチェスコがもはや役目を果たせないという判断から彼に退位を迫る。総督はあきらめてルクレツィアの手を借りて退室しようとする(「これが非道なる報いか」)。その時、新しい総督の就任を祝うサン・マルコ寺院の鐘の音が聞こえ、それを自分の死の響きと受け止めた総督は「わが子よ」とつぶやいて息絶える。そして一方のロレダーノは、「復讐が成就した」と冷静に言う。



Reference Materials


初演

1844年11月3日 アルジェンティーナ劇場(ローマ)

原作
ジョージ・ゴードン・バイロン/「二人のフォスカリ」

台本
フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ/イタリア語

演奏時間
第1幕37分、第2幕36分、第3幕31分(ガルデッリ盤CDによる)

参考CD
●カプッチッリ、カレーラス、リッチャレッリ、レイミー/ガルデッリ指揮/オーストリア放送響・唱(PH)

参考DVD
●ヌッチ、ラ・スコラ、ペンダチャンスカ、リゴーザ/サンティ指揮/ナポリ・サンカルロ劇場管・唱(CC)
●ブルゾン、クピード、ローク=シュトゥルマー、ローニ/ガヴァッツェーニ指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(OA)

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  



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