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※2017年時
都市
デュッセルドルフ/ドイツ
日程
2017年3月1日~5日
申込締切
審査部門
ピアノ
年齢制限
賞(通貨:ユーロ)
開催周期
4年
次回開催
問
http://www.schumann-competition.com/
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月刊ショパン 2017年5月号 p.94より転載
世界のコンクール便り vol.46
文/アーリンク明美 (ピアニスト/アーリンク=アルゲリッチ財団)
第1回ロベルト・シューマン国際青少年ピアノコンクール
カテゴリーC(年齢制限:18歳~20歳)
1位 イー・ジェヨン(19歳、韓国)
2位 北村明日人(20歳、日本)
3位 ウラディスラフ・フェドロフ(19歳、ロシア)
写真は、全3カテゴリーの入賞者たち
皆さんはロベルト・シューマンの作品はお好きですか? ドイツロマン派を代表する作曲家の一人である彼の名にちなんだ国際コンクールは、彼の出生したドイツのツヴィッカウに1956年に創設されたものが始まり。開催以来3、4年ごとにピアノ部門と声楽部門が行われ、昨年のピアノ部門で日本人の梅村知世さんと阿見真依子さんが入賞されたことも記憶に新しい。
近年は世界各地で、若いピアニストのためのコンクールの人気が高いが、今回はデュッセルドルフで新たにロベルト・シューマン国際青少年ピアノコンクールが設立された。この街は、シューマン夫妻が1850年に移り住み、クララ・シューマン国際ピアノコンクールが2000年まで開催されていた歴史もある。審査員は世界的に著名な教授を含む7名で構成され、ピアノはハンブルグ・スタインウェイとシュタイングレーバーの2台から選択。
写真は、審査員たち。(左から、敬称略)マリアン・ラプサンスキー、ファン・ペイユ、パーヴェル・ギリロフ、バーバラ・ズツェパンスカ、ユスタス・ドヴァリョーナス、グリゴリー・グルツマン、アンドレア・ボナッタ
このコンクールは年齢別に3カテゴリーに分かれており(A:13歳以下、B:14〜17歳、C:18〜20歳)、第1回のコンクールもかかわらず計100名以上が30ヵ国から応募し、演奏レベルも予想以上で、主催者と芸術監督のバーバラ・ズツェパンスカ氏らはかなりご満悦な様子。
カテゴリーCの優勝は韓国のイー・ジェヨン。彼女の音色は大変美しく、特にプロコフィエフの《束の間の幻影》でそれが顕著に現れていた。北村明日人さんはファイナルでムソルグスキーの《展覧会の絵》とシューマンの《謝肉祭》の大曲2曲をみごとに弾きこなし、2位を受賞。3位はロシアのウラディスラフ・フェドロフ。カテゴリーBの優勝者シュアン=へーン・リー(14歳、オーストラリア)は、大人顔負けのシューマンの《ソナタ第2番》を演奏して会場を沸かせた。カテゴリーA優勝のエヴァ・ゲヴォルギャン(12歳、ロシア)の表現力は素晴らしかったし、2位のベン・レペティット(10歳、ドイツ)の演奏は、まるで小さな身体から音楽が湧き出てくるようであった。
第2回は2年後の予定。
写真は、「初めて参加した海外のコンクールで入賞することができ、大変光栄です!」と嬉しそうだった、カテゴリーC2位の北村明日人さん。現在彼はスイスのチューリッヒ芸術大学で研鑽中