第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクールが10月5日から開催!   オープニングコンサートにアルゲリッチも出演

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 10月6日からポーランド・ワルシャワで第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクールが開催される。"ピリオド”とは"時代"という意味で、作品が書かれた当時の楽器を意味する。このコンクールは、ショパンの生きた時代の楽器を使用するコンクールだ。 

 

 

 

第1次ステージ前日の5日には、ファイナルステージの舞台となる「ワルシャワフィルハーモニーコンサートホール」で、前回優勝者のトマシュ・リッテル、2位の川口成彦、第18回ショパン・コンクール優勝のブルース・リウ、そしてマルタ・アルゲリッチが出演したExtraordinary Inaugural Concertが開催された。 

 

 

 

コンサートのオープニングを飾ったのは、川口成彦。曲目はこの日のために藤倉大によって書かれた「Brindging Realms」。不協和音から始まるが、どこか懐かしく温かい。藤倉はプログラムノートでガムランをイメージしたと語っているが、初めて耳にするような不思議な響きを観客は驚きを持って迎えていたようだった。ピリオド楽器の新たな可能性を感じさせる作品だった。 

 

続いてはトマシュ・リッテルによるベートーヴェン《ピアノ協奏曲第3番》。気持ちのよいレガートで、旋律を見事に歌い上げる。音の粒立ちも美しく、聴いていて胸のすくような勢いをもっていた。そして古楽器オーケストラ{oh!}の熱量も負けていない。リッテルの深い内省のある音を温かく包み込む音色や息遣いをしていた。本選で誰が{oh!}と演奏するのか今から楽しみである。 

 

 

 

ここまで、川口とリッテルが使用したのは1819年頃のグラーフ製のピアノだったが、休憩を挟んで、楽器がエラールに交代。エラールはピリオド楽器の中でも現代ピアノに似たタッチを持っている。 

 

拍手と歓声によって迎えられたのはマルタ・アルゲリッチ。出演は直前に発表され、話題になった。曲目はベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第3番》。弾き始めた途端、「ピアノが喋りだした」と感じた。音が生命感に満ちており、オケもつられて躍動感を増し、素晴らしい相乗効果が生まれていた。使用楽器は現代楽器に近いエラール製のピアノだったが、単にそれだけでの理由ではない高らかな響きを持っていた。音楽の高揚と共に、聴き手もわくわくさせられる多幸感に満ちた演奏だった。演奏終了後は当然ながらブラボーにスタンディングオベーション。「アルゲリッチがピリオド楽器?」とも思ったが、まさに弘法筆を選ばず。 

 

 

 

ブルース・リウの曲目はベートーヴェンの《合唱幻想曲》。演奏される機会が滅多にないレア曲だ。ブルース・リウはアルゲリッチとは一味違うふくよかで豊かな響きで、大胆かつ繊細にオケを引っ張っていった。終盤の合唱はドイツ語の語感に乗ってとても生き生きとしており、ピアノ、オーケストラと一体になり、とても晴れやかな心地のする演奏だった。 

 

 

 

アンコールはブルース・リウ、アルゲリッチ、リッテルによる6手連弾のラフマニノフ《ロマンス》。三者が豊かに音を紡いでいた。 

 

第1回の川口成彦の準優勝もあり、国内での注目度も高いショパン国際ピリオド楽器コンクール。出場者は日本人が最も多く、10名が出場する。オープニングコンサートに来場しており、コンクールも観戦予定の加藤一郎(国立音楽大学・同大学院教授)は、「前回よりも出場者全体の演奏が発展し、個性豊かなものになることを期待しています」と語った。 

 

 

(文中敬称略/ショパン編集部) 

 

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