楽器の事典ピアノ 第2章 黄金期を迎えた19世紀・20世紀 13

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ストリンギング

 ストリンギングとは弦の張り方、あるいは掛け方という意味である。ピアノのストリンギングはその発達の過程においてさまざまな改良がなされている。
 19世紀の初期以前のピアノの弦は、その一端をアイに巻きつけてヒッチピンに固定し、他の端をレストピン(チューニングピン)に巻きつけて調律した。つまり、弦は一本一本別に張ったのである。
 しかし、この方法はピアノの弦の張力が弱かった時代にはなんとかなったが、その後、音量を増大するために張力を増加したので、極めて張力の保持が不安定となってきた。
 アメリカの有名なピアノメーカーのチッカリングのジェームス・スチュアートという技師が、1827年に画期的なストリンギングの方法を考え出した。これは、従来のアイに弦を巻きつける方式を捨てて、複弦、つまりユニゾンの弦の場合、二倍の長さのワイヤーをヒッチピンで折り返すことによって二本弦を張る方法であった。この方法によればワイヤーの両端はレストピンで引っ張られるわけであるから、極めて安定した音程が得られたのである。
 なお、ヒッチピントワイヤーの摩擦のために、両側の弦の張力に相違がある場合も、弦がすべることは全くなかった。さらに三本弦の複弦の場合は、二本を同様な方法で張り、残りの一本を隣の音程の違う三本弦の一本と共用したのである。このすばらしい発明の後にもいろいろな方式のストリンギングが考え出された。例えばスプリングを使って張力を安定させるものとか、複雑で高価なレストピンを使うものなどが考案されたが、いずれも長続きしなかった。メタルフレームを使い、良質の弦をオーバーストラングした場合、ジェームス・スチュアートが考案したこの方法は、ピアノの音程を数ヶ月間完全に保てるということがわかり、現在に至るまで使い続けられている。

アグラッフェ

 ピアノの弦の音程を安定させ、振動の効率を上げる方法としてさまざまなものが考え出された。まず最初にあげねばならないのがアグラッフェである。これは振動する弦の長さを適確に定めると同時に、弦のベアリングの角度を正確にする。いわばプレッシャーバーとアッパーブリッジとを兼用した装置で、真ちゅう製のビョウで二個ないし三個の穴があけてあり、この穴の中に弦を通す。アグラッフェは1808年にフランスのセバスチャン・エラールが発明しており、これによりハンマーが弦を叩いた時の不快なノイズが除かれたのである。なお、最近、ドイツのザウターがオープンヘッデッドアグラッフェという新しい方式のものを発明している。




 
改訂 楽器の事典ピアノ 平成2年1月30日発行 無断転載禁止


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