フランチェスカ・ダ・リミニ[全4幕] ザンドナイ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

R. Zandonai, Francesca da Rimini 1914
フランチェスカ・ダ・リミニ[全4幕] ザンドナイ作曲

 
❖登場人物❖

フランチェスカ(S) サマリターナ(Ms) オスタージオ(B)  ジョヴァンニ(Br) パオロ(T) マラテスティーノ(T) 他


❖概説❖
 マスカーニに学んだザンドナイはヴェリスモ・オペラの作曲家としてキャリアをスタートさせ、プッチーニの後継者との評判を取った。彼は9曲のオペラを残したが、その中でも最高の傑作として知られるのがこの「フランチェスカ・ダ・リミニ」である。全曲が美しい旋律に彩られている。

第一幕


 十三世紀末ラヴェンナのポレンターニ館の中庭。ラヴェンナの領主ポレンタ家のグイードの娘フランチェスカが侍女たちと遊んでいると、放浪の楽師がやって来るので、フランチェスカは物語を詠うよう所望する。そこに兄のオスタージオがやって来るので、侍女たちは姿を消す。
 オスタージオはフランチェスカをマラテスタ家の長男ジョヴァンニと政略結婚させようと目論(もくろ)んでいるが、ジョヴァンニは足が不自由で醜いのでジャンチョットと呼ばれており、妹を説得できないのではないかと心配している。そこで、名代でやって来る美男子の彼の弟パオロをジョヴァンニと思わせて、結婚を承知させようと思いつく。
 フランチェスカが妹のサマリターナと連れだってやって来る。妹は姉が嫁に行ってしまうのを寂しがるので、フランチェスカは妹を慰める。やがてフランチェスカの未来の夫の来館が告げられる。館の人々は遠目に見るパオロが美男であるのをたたえ、はじめ恥じらって隠れていたフランチェスカも妹によって彼の前に引っ張り出される。フランチェスカはパオロをひと目見ただけで心を奪われ、赤い花を摘んで彼に贈る。


第二幕


 リミニのマラテスタス城の中の搭。ギベリン派に属すマラテスタ家は、敵のグエルフィ派の攻撃に備えて大砲などの武器の準備をしている。フランチェスカが夫ジョヴァンニを探しに塔にやって来ると、パオロがやって来る。フランチェスカは騙されてパオロに会って以来一度も彼に顔を合わせたことはなかったが、二人の愛は今でも強い。彼の顔色が青いのを心配するフランチェスカに、パオロは薬では治らない病気だと言って、戦闘のために塔に上って行く。パオロはフランチェスカの傍で死ねるなら本望だと言うので、フランチェスカも自分を欺いた罪は赦すと叫ぶ。
 戦闘がますます激しくなり、ジョヴァンニも塔に登って来てパオロの戦いぶりを褒める。塔の下に落ちたパオロにフランチェスカは駆け寄って介抱する。パオロは矢には当たらなかったが、フランチェスカに触れられて心を傷つけられたと言い、彼女に対する愛を告白する。戦勝を祝い、ジョヴァンニも弟の手柄を褒めるが、傍らに自分の新妻がいるのに驚く。人々が乾杯をしていると、目をやられた末弟マラテスティーノが眼帯をして戦場に向かう。  


第三幕


 フランチェスカの寝室。フランチェスカは侍女たちに「ガレオットとジネヴラ」の物語を話して聞かせる。楽しく歌い踊った侍女たちが去ると、フランチェスカは女奴隷に対して、戦いの日以来心が落ち着かないし、マラテスティーノの目が怖いと言う。
 女奴隷は、長い旅から戻ったパオロを連れて来る。フランチェスカは再び「ガレオットとジネヴラ」の物語を読み、愛の場面で感極まる。彼女は良心の呵責を覚えながらも、パオロと情熱的に抱き合う。


第四幕


 第一場 城内の八角形の部屋。フランチェスカに恋心を抱くマラテスティーノは、パオロとの関係を仄(ほの)めかして彼女を誘惑しようとする。その時地下牢から囚人の呻き声がするので、マラテスティーノはそれを黙らせようと剣を抜いて地下に降りて行く。そこにジョヴァンニが現れるので、彼女はマラテスティーノの行為を訴える。ジョヴァンニは末弟を責めると、マラテスティーノはフランチェスカとパオロとの関係を暴露する。
 第二場 フランチェスカの寝室。侍女が出て行き、一人になったフランチェスカのところにパオロが入って来る。二人が固く抱擁していると、ジョヴァンニの声がする。あわててパオロは逃げようとするが、マントが引っかかって止むを得ず引き返し、ジョヴァンニと決闘になる。フランチェスカは止めようとするが、ジョヴァンニの剣に刺され、パオロも殺される。




Reference Materials


初演

1914年2月19日 トリノ王立劇場

原作
ダンテ/「神曲」によるガブリーエレ・ダネンツィオの戯曲

台本
ティト・リコルディ/イタリア語

演奏時間
第1幕32分、第2幕25分、第3幕29分、第4幕44分(バルバチーニ盤DVDによる)

参考CD
●オリヴェロ、デル・モナコ、ペロッティ、カンピ/ガヴァッツェーニ指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(Myto)

参考DVD
●スコット、ドミンゴ、マックニール、ルイス/レヴァイン指揮/メトロポリタン歌劇場管・唱(LDC)
● デッシー、アルミリアート、ニコトフ/バルバチーニ指揮/マルキジアーナ・フィル・唱(Art)


ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  






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