修道女アンジェリカ[全1幕] プッチーニ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. Puccini, Suor Angelica 1916~17
修道女アンジェリカ[1幕]

 
❖登場人物❖

修道女アンジェリカ(S) 公爵夫人(A) 女子修道院長(Ms)  修道長(Ms) 修練長(Ms) 医務係の修道女(Ms) ジェノヴィエッツァ(S)  オスミーナ(S) ドルチーナ(S)他

❖概説❖

「外套」「ジャンニ・スキッキ」とともに“三部作”をなす一曲。中でもこの曲は全登場人物が女声であり、しかも宗教的神秘劇である点で、プッチーニのオペラとしては極めて珍しい作品である。



 女子修道院の中庭。ある春の日の夕暮れ、礼拝堂から修道女たちの祈りの声が聞こえる。礼拝が終わると、修道院長は遅刻した者や態度の悪い者を叱る。
 休憩時間になって庭に出た修道女たちは、思い思いのことを始める。ジェノヴィエッツァは陽が当たった聖水盤が光り輝くのを奇跡だと喜ぶが、昨日同時刻に死んだ同僚を思い出して、皆と彼女の墓に参る。修道女たちはそれぞれの希望について語り合っていると、医務係の修道女キアーラが蜂に刺されたと知らせるので、薬草に詳しいアンジェリカは草を摘んで処方のしかたと手当の方法を教える。
 托鉢(たくはつ)から戻った修道女がたくさんの食物を持って帰って来るので皆は喜ぶ。彼女は修道院の門の前に立派な馬車が停まっていたというので、皆はそれぞれ自分への来客かと胸をときめかせるが、アンジェリカは何か胸騒ぎがする。やがて修道院長がアンジェリカを呼び、伯母の公爵夫人の来訪が告げられる。アンジェリカは久しぶりの対面を喜ぶが、公爵夫人はアンジェリカの妹が結婚することになったので全財産を彼女に譲る書類に署名するよう冷たく告げる。
 アンジェリカは妹の結婚を喜ぶが、自分が過ちで七年前に産んだ子供の安否を尋ねると、二年前に病死したと伯母が答えるので、叫び声をあげて地に伏す。公爵夫人が帰り、一人になったアンジェリカは悲嘆にくれる(「母もなく」)ので、修道女たちは彼女を慰める。
 やがて修道院が暗闇に包まれると、アンジェリカは庭に出て毒草を煎じ、仲間の修道女に別れを告げる。彼女は一瞬我に返り自殺の罪に苛(さいな)まれるが、その時奇跡が起こる。修道院は光に輝き、子供を抱いた聖母が現れてアンジェリカの方に子供を押しやる。アンジェリカは恍惚の中、静かに息を引き取る。




Reference Materials


初演

1918年12月14日 メトロポリタン歌劇場

台本 
ジョヴァッキーノ・フォルツァーノ/イタリア語

演奏時間
51分(ガルデッリ盤CDによる)

参考CD
●テバルディ、カーラル、シミオナート/ガルデッリ指揮/フィレンツェ5月音楽祭管・唱(D)
●ガイヤルド=ドマス、パーマー、レシュマン/パッパーノ指揮/フィルハーモニア管、ロンドン・ヴォイシズ(EMI)

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  




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