つばめ[全3幕] プッチーニ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. Puccini, La Rondine 1914~16
つばめ[全3幕] プッチーニ作曲

 

登場人物❖

マグダ(S) ルッジェロ(T) リゼット(S) プルニエ(T)  ランバルド(Br)他

❖概説❖

「西部の娘」のウィーン初演に立ち会うために同地を訪れたプッチーニは、カール劇場支配人から半ば陽気で半ば感傷的なオペレッタの作曲を依頼された。紆余曲折の末に出来上がった作品は普通のオペラになってしまい、初演も第一次大戦勃発のためにモンテ・カルロで行われた。  
 ウィーン初演は、大戦終結後の1920年にR・S・ホフマン訳のドイツ語でフォルクスオーパーにて行われた。


第一幕


 パリにあるマグダの家の豪華なサロン。パトロンの銀行家ランバルドが、友人たちと遊びに来ている。マグダの女友達も集まって、カルタをしたり談笑したりしている。みな快楽主義者たちだが、一人詩人プルニエは皮肉っぽく真面目な恋について語り、ピアノの前に座って新作の詩を披露する。途中からマグダが後を続けて仕上げる(「ドレッタの美しい夢」)。人々は彼女の真摯で情熱的な歌を賛美し、ランバルドは真珠の首飾りを贈る。
 そこに小間使いのリゼットが入って来て、ランバルドに彼の古い友人の息子のルッジェロが訪ねて来ていると告げる。女友達はマグダの贅沢な生活を羨むが、マグダはお金以外の何ものでもないと言い、少女時代にクラブ・ダ・ブリエで会った初恋の相手が忘れられないと言う(「ブリエで過ごしたある晩のとても素敵な数時間」)。プルニエは取り囲まれた女たちの手相を見て、マグダはつばめのように夢の国へと海を渡って行くが、また元の巣に戻って来るだろうと占う。
 ルッジェロがランバルドの前に案内される。ランバルドは、彼が今夜どこで楽しんだらよいだろうかと皆に相談すると、全員がブリエ行きを勧める。ブリエと聞いたマグダは、ルッジェロをひと目見て心がときめく。
 皆が帰ると、彼女は何か思いついたように一人自分の部屋に入る。プルニエに誘われるまま、マグダの豪華な衣裳を無断借用したリゼットが彼とともにブリエに出掛けたあと、マグダはお針子姿に変装してブリエに向かう。


第二幕


 クラブ・ダ・ブリエの舞踏室。集まった人々はにぎやかに食べたり踊ったりしている。一人席に座ったルッジェロを女たちが取り囲むが、彼は相手にしない。
 そこにお針子姿のマグダが入って来る。身なりはみすぼらしいが美しい彼女に言い寄る男たちを避けて、彼女はルッジェロの横に座る。それがマグダとは気づかないルッジェロは彼女と話をするうちに、意気投合して踊ったりする。
 ルッジェロに名前を尋ねられたマグダは出まかせにポーレットと名乗る。彼女は昔の感傷的な初恋の体験を思い出して、彼の胸に抱かれて熱い口づけを交わす。
 この様子を見ていたリゼットとプルニエはその女性をマグダと見抜いて驚くが、マグダの目くばせでそれと察したプルニエが、機転を利かせてその場を取りつくろう。やがてランバルドがやって来るのを見つけたプルニエは、気を利かせてルッジェロにリゼットを庭の方に連れ出させる。
 ランバルドは思いもかけぬ姿をしたマグダを見てその理由を問うが、彼女は「ご覧の通り」とだけ答え、一緒に帰ろうと言うランバルドに、新しい恋を見つけたのでここに残ると言う。ランバルドは、後悔しないようにと言い残して立ち去る。
 明け方も近くなって、ホールを埋めつくしていた客たちもすっかりいなくなっている。部屋の一隅でマグダとルッジェロは固く抱き合うと、手を取り合って出て行く。    


第三幕


 リヴィエラの海岸にあるマグダとルッジェロの別荘。前幕から数ヶ月後、マグダとルッジェロの二人はパリを離れた別荘で愛の生活を送っている。お金が乏しくなったルッジェロは親元に金の無心をして、マグダとの結婚の許しを求める手紙を書いたことを彼女に告げる。マグダは嬉しさに涙を流すが、自分の過去を打ち明けるべきかどうか悩む。
 そこにプルニエとリゼットが訪ねて来る。小間使いをやめてからのリゼットは、歌手を志してプルニエの支援でニースの舞台に立ったものの、聴衆に野次り倒されて失敗し、再びマグダの小間使いに戻りたいと思っている。
 一方のプルニエも、軽薄なリゼットを今ではうとましく感じている。 二人が話しているところにマグダが戻って来るので、プルニエが彼女に事情を説明してリゼットを再び小間使いに雇ってもらうことにする。そしてプルニエは、「いつでも気が向いた時にパリに戻って来るように」というランバルドの伝言をそれとなくマグダに伝えて立ち去る。
 ルッジェロが結婚の許可が記された母親の手紙を持って嬉しそうに駆け込んで来るが、マグダは自分は金で身を売った汚れた女であることを告白する。そして、清らかな乙女を装ってルッジェロと結婚することはできないと言うと、パリに帰って昔の生活に戻る決意をする。
 二人は愛するままに別れることになり、ただ一度の真剣な恋を棄てて、マグダは泣きながらルッジェロのもとを去って行く。

 



Reference Materials


初演

1917年3月27日 モンテ・カルロ歌劇場

台本
ジュゼッペ・アダミ(A.M.ヴィルナーとH.ライヒェルトのドイツ語台本より)/イタリア語

演奏時間
第1幕38分、第2幕30分、第3幕35分(マゼール盤CDによる)

参考CD
● ゲオルギウ、ムーラ、アラーニャ、マッテウッツィ/パッパーノ指揮/ロンドン響、ロンドン・ヴォイシズ(EMI)
●テ・カナワ、ニクレスク、ドミンゴ、ヌッチ/マゼール指揮/ロンドン響、アンブロジアン・オペラ唱(SONY)
●ガスディア、スカラベッリ、クピード、コソッティ/ジェルメッティ指揮/RAIミラノ響・唱(WF)

参考DVD
●チェドリンス、パストラーナ、ポルターリ/リッツィ指揮/ヴェネツィア・フェニーチェ座管・唱(Art)


ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  




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