アイーダ[全4幕]ヴェルディ作曲

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詳解 オペラ名作217 野崎正俊 より

イタリアオペラ

G. F. Verdi, Aida 1870
アイーダ[全4幕] ヴェルディ作曲

 
登場人物❖

アイーダ(S) アムネリス(Ms) ラダメス(T) アモナスロ(Br) ランフィス(B)  エジプト王(B) 巫女の長(S)他

❖概説❖

1869年に完成したスエズ運河の開通記念に建てられたカイロ歌劇場に委嘱された作品。ヴェルディの気に入った物語が見つかり、作曲にとりかかったのはようやく1870年に入ってからで、初演は1871年末にカイロ劇場で行われた。そのため1869年11月の歌劇場のこけら落としには「リゴレット」が上演された。華やかで壮大な作品である。


第一幕



 第一場 メンフィスの王宮の広間。祭司長ランフィスが、エチオピア討伐のエジプト軍の指揮官を決める神託があったと将軍ラダメスに語る。ラダメスはもしそれが自分であったならば敵を破り、手柄に愛するアイーダを妻にもらおうと期待に胸をふくらませる(「清きアイーダ」)。そこに密かにラダメスを想うエジプト王女アムネリスが登場、ラダメスの心を探ろうとする。
 次いでアイーダが現れる。エチオピア王女である彼女は、身分を隠して捕らわれの身となっている。二人の女はラダメスをめぐって心の探り合いをする。その時エジプト王の一行が現れ、イシスの神の神託によりエチオピア征討軍の指揮官にラダメスが任命されたと告げる。一同は彼を激励するが、アイーダは祖国への愛とラダメスへの愛の板挟みに苦悩する(「勝ちて帰れ」)。
 第二場 メンフィスにある火の神の神殿。巫女の長や祭司たちの祈りの声が聞こえて来る。ラダメスが入って来て、祭司長によって神剣が授けられる。一同は神の加護を祈る。


第二幕


 第一場 テーベのアムネリスの私室。アムネリスは、エジプト軍凱旋の祝賀式に出席するため奴隷たちに着付けを手伝わせている。アムネリスは悲しげに入って来たアイーダに、ラダメスが戦死したとわざと嘘をつき、その反応から彼女の愛している男がラダメスであることを探り出す。怒ったアムネリスは奴隷のくせにとアイーダに居丈高に振る舞う。遠くから勝利の歓声が聞こえ、アイーダは神に哀れみを請う。
 第二場 テーベの城門の前。凱旋のラッパが勇壮に響き、祖国と神をたたえる人々の合唱の中に、戦利品を連ねて兵士たちがやって来る(凱旋行進曲「エジプトとイシスの神に栄光あれ」)。祝勝の踊りが繰り広げられる。 エジプト王はラダメスの戦功をたたえ、褒美を取らせると言うので、ラダメスは捕虜の釈放を願い出る。アイーダは捕虜の中に一兵卒の姿をした父王アモナスロを見つけて驚くが、アモナスロはアイーダの父とだけ名乗る。 アモナスロとアイーダも慈悲を願うが、祭司たちの反対でアモナスロだけ人質として残され、エチオピア人捕虜は解放される。エジプト王はラダメスにアムネリスを与えて、王の後継者に任じる。沸き上がる人々の歓呼の中にアムネリスは勝ち誇り、対照的にアイーダは絶望に打ちひしがれる。


第三幕


 ナイルの河畔。神殿の中から祭司たちの祈りの声が聞こえる。祭司長に伴われたアムネリスが、明日の婚礼の祈りを捧げに神殿に入る。月明かりを頼りにアイーダが人目を忍んで用心深く現れる。ラダメスを待つ間に故郷を想い、もし彼に捨てられたらナイル河に身を投げようと歌う(「おお、わが故郷」)。
 そこに不意にアモナスロが姿を現し、ラダメスからエジプト軍の配置を聞き出すよう命じる。アイーダは恋人を裏切れないと拒むが、祖国のために泣く泣く承知する。ラダメスが来る気配に、アモナスロは木陰に隠れる。 ラダメスは今度戦いに勝てば国王にすべての許しを願おうと言うが、アイーダはもし本当に自分を愛しているなら一緒にここから逃げて欲しいと迫る。そして逃げ道のナパタの谷を聞き出す。その途端、アモナスロが二人の前に踊り出てエチオピア王だと名乗るので、ラダメスは祖国の秘密を漏らしてしまったことを後悔する。その時、裏切り者という声とともに神殿からアムネリスと祭司長が出て来る。ラダメスはアイーダとアモナスロを逃がしてから、自ら祭司長に剣を差し出す。


第四幕


 第一場 メンフィスの王宮の広間。アムネリスは捕らわれの身のラダメスをあきらめきれず、衛兵にラダメスを連れて来させる。彼女はアイーダを忘れて自分を愛するなら、国王にラダメスの助命を願い出ようと言うが、ラダメスの死の決意が固いのであきらめる。祭司長と祭司たちが地下の裁判室に入って行く。ラダメスが何の弁明もしないので、裁判室からは死刑を宣告される声が聞こえて来る。アムネリスは引き上げて来る祭司長に激しく異議を唱え、一人残って呪いの言葉を吐く。
 第二場 火と神の神殿の内部。地下牢に閉じ込められたラダメスは死を覚悟して、アイーダはどこへ行ったのだろうかとその身を案じていると、思いがけず暗がりに潜んでいるアイーダを見つけて驚く。彼女はラダメスが生き埋めの刑に処せられるのをあらかじめ察して、牢に忍び込んでいたと言う。ラダメスは重い石の蓋を押しのけてアイーダを外に出してやろうとするが、石はびくともしない。 二人は天国で結ばれることを約束し、清らかに不死の愛を歌って現世に別れを告げる(「運命の石が私の上で…さようなら大地」)。地上では喪服姿のアムネリスが神殿にひざまずいて、愛する男の冥福を静かに祈り、遠くからは祭司や巫女たちの祈りの声が聞こえる。



Reference Materials


初演 

1871年12月24日 カイロ歌劇場(エジプト)

原作 
オーギュスト(フェルディナンド・フランソワ)・マリエット原案、カミーユ・デュ・ロークル

台本
アントニオ・ギスランツォーニ/イタリア語

演奏時間 
第1幕48分、第2幕43分、第3幕36分、第4幕34分(カラヤン盤CDによる)

参考CD
● フレーニ、バルツァ、カレーラス、カプッチッリ/カラヤン指揮/ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場唱(EMI) ◦トモワ=シントウ、ファスベンダー、ドミンゴ、ニムスゲルン/ムーティ指揮/バイエルン国立歌劇場管・唱(Orf)

参考DVD
● ミッロ、ザージッチ、ドミンゴ、ミルンズ、ブルチュラーゼ/レヴァイン指揮/メトロポリタン歌劇場管・唱(DG)
●キアーラ、ディミトローヴァ、パヴァロッティ、ギャウロフ/マゼール指揮/ミラノ・スカラ座管・唱(Gen)

ショパン別冊 詳解オペラ名作217 2013年12月発行 無断転載禁止  




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